全くもって不自然な事態となった。そもそも、立浪一門は1月の理事選を巡って内紛をはらんでいる状態。立浪親方(元小結・旭豊)が一門を裏切って、貴乃花親方に投票したために、現職だった友綱親方は1票差で落選。3月の一門会で造反を明らかにした立浪親方は一門離脱を表明し、不協和音が奏でられている。友綱部屋は「部屋の用事」を理由に、同日の連合稽古に不参加となった。
ただ、今回の白鵬の無断欠席は、一門のあつれきとは無関係のようだ。連合稽古を無断欠席した白鵬は、その理由を語らず。朝日山部屋で、弟子の白鵬が友綱部屋に出稽古に行ったことを聞かされた宮城野親方は、「こっちに来ると思っていた」と怒り心頭。はからずも、白鵬と師匠との間で全くコミュニケーションが取れていないことが露呈された格好だ。
2人は一門の大島親方(元大関・旭國)の定年(今月24日)に伴い、衝突があったとされる。大島部屋にはモンゴル出身の旭天鵬(幕内)、旭秀鵬(十両)がおり、白鵬は大島部屋力士の宮城野部屋への合流に動いたが、宮城野親方の反対で、話は立ち消え。大島部屋力士は同じ一門の友綱部屋に移籍した。この際の確執が、両者の間に深い溝をつくってしまったというのだ。
宮城野部屋に近い関係者は「コミュニケーションが図れていれば、連合稽古の日にこんなチグハグなことにはなっていません。ろくに口も聞いていないから、こんなことになったのでしょう」と語る。
先の春場所(大阪)でV22を達成し、歴代優勝回数4位の北の湖=24回、3位の朝青龍=25位の記録更新も射程圏に入った白鵬。相撲界では特別な事情がないかぎり、FA移籍は認められない。このまま、2人の関係が修復されないようなら、集中力を欠いて相撲に影響が出てしまいかねない。
(落合一郎)