昨年9月の秋場所は名古屋場所(7月)で優勝した日馬富士(伊勢ヶ浜)の綱獲りが懸かった場所だった。今場所は稀勢の里(鳴戸)が大関に昇進、1場所前の昨年11月の九州場所(福岡)では琴奨菊(佐渡ケ嶽)が大関に上がり、2人の日本人大関の誕生は大きな注目を集めていた。3日目は3連休明けの集客がむずかしい火曜日で同情すべき面もあるが、日本人の新大関がまだ客入りにつながっていないということだろう。
一昨年6月に起きた野球賭博問題に始まり、相撲界には不祥事が相次いだ。昨年2月に発覚した八百長問題で相撲人気は地に堕ちた。もはや、ガチンコでいい相撲を取れば、客が入るという簡単なものではない。
ほとんど毎場所のように繰り返される一人横綱・白鵬(宮城野)の独走を、いつまでも許しているようでは、客は入らないだろう。今の相撲界に必要なのは、一にも二にも新横綱の誕生、白鵬のライバル出現、ふがいない大関陣の奮起にほかならない。千秋楽まで優勝争いがもつれなければ、終盤の盛り上がりも起こらない。むろん、それが新たに昇進した日本人大関であれば、なおさら望ましいことで、単に大関に上がっても成績が振るわなければ人気上昇にはつながらない。
一度、落ちた人気は一朝一夕では回復できないだろう。それを、相撲界全体で真摯に受け止め、精進していかなければ、大相撲の将来はない。
(落合一郎)