大関2場所目の琴奨菊、新大関の稀勢の里(25=鳴戸)を除き、大関陣で唯一優勝がなかったのが把瑠都だった。しかし、優勝経験がある日馬富士(27=伊勢ヶ浜=2度)や琴欧洲(1度)が成績にムラがあるのに対し、安定した実力を示していたのが、実は把瑠都だったのだ。
昨年10月1日付の記事で横綱、大関の八百長問題発覚前と全面ガチンコとなった後の成績を比較したが、八百長問題関係なく安定した結果を残していたのが把瑠都だった。10年3月場所から昨年1月場所までの問題発覚前(10年3月場所は関脇)が、61勝29敗(勝率.678)。ガチンコオンリーとなった昨年5月場所から11月場所までで、把瑠都は大関陣でただ一人4場所連続2ケタ勝利を挙げて、42勝18敗(勝率.700)。今場所の星も加えれば、勝率はさらに上がる。
八百長が禁じられてから、安定した成績を残し、かつ勝率を上げてきたのだから、把瑠都の力はホンモノだ。ただ、来場所(3月・大阪)は初の綱獲り場所となるが、これには大きな関門が待ち受ける。今場所の最終的な星にもよるが、そのハードルは高く設定されるだろう。それは、12日目に立ち合いの変化で星を取って、横綱審議委員会の心証をひどく悪くしたからだ。元々、把瑠都は私服やラフな格好で外出して度々注意を受けるなど、素行の問題もある。上を目指そうと思えば、高レベルの星、相撲内容、土俵を下りた際の品格が求められる。
(落合一郎)