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『バーゲンセール』は死語か…いつの間にか作られた服の半分が捨てられる世の中になっていた!

 高級ブランドのバーバリーが、売れ残った商品をすべて焼却処分していたことが発覚したが、今アパレル業界では余剰在庫の処分が大きな問題になっている。

 「アパレル業界が供給している量の半分強が、バーゲンしてもアウトレットでたたき売っても残って廃棄処分されています。1990年ごろは、今に比べると供給量は半分以下だったのですが、以来20数年の間に2.4倍くらいに増大しています。ところが消費は16%しか増えていません。ということは、当然余っているわけです。実際90年ごろは需要と供給がほぼ一致していたので、バーゲンさえすれば、売れ残りは5%以下程度でした。それがいまや50%超えですからね」(流通ライター)

 果たして、供給過剰の問題はどこにあるのか。
「衣料品工場は、企業論理から常に稼働させなければならず、同様に小売店は、店頭に在庫がないと機会損失が出てしまうというアパレル業界の構造自体に問題があるのが1つ。第2に、中間の流通業者はそれを見越して“多めに”商品を作るので、常に在庫がダブついた状態になってしまっていることです。第3は、近年トレンドの移り変わりが激しいことも在庫管理を難しくしていますね」(同・ライター)

 こうしたムダを減らすため様々な企業が独自に取り組んでいる。まず大阪市の在庫処分業者『ショーイチ』だ。
「同社の倉庫には常に30万〜40万点の服があります。アパレル業者や工場など年間約600社から500万点が持ち込まれるといいます。それらを定価の1割ほどで買い取り、タグを外してブランド名が分からないようにして、自社のサイトやイベント会場などで販売しています。定価の17〜18%でようやく売れていくようです」(アパレル業界紙記者)
 次に企業間のフリマサイト『スマセル』を見てみよう。

「このサービスは、企業・法人間で在庫を売買するという繊維・ファッション業界のフリマサイトです。在庫を処分したい企業と特価商品を必要としているバイヤーをオンライン上でマッチングしていくプラットフォーム。基本的には定価の80%オフぐらいで仕入れることができます」(同・記者)

 ショーイチと同じようにタグを付け替えて再販売する“リネーム”というビジネスもある。
「リネームというのは1つの方法の名称で、買い取った商品の襟についているブランドネームや洗濯ネームを提携している加工工場で付け替えて、新しく『リネーム』というブランド名で再販売することで、ブランド価値の毀損を防いでいます。大きく分けて小売店への卸売と、ネット通販サイトの2つで販売しており、例えば元の値段から3割引とか、中には半額以下などさまざまの価格帯があるようです」(同)

 米国では高級ブランドの中古サイトが、ビンテージブームに乗って急成長している。ファッションにおける中古品といえば、かつては古着屋に限定されていたが、今や主要高級ブランド品市場でも「リユース」の売上高は突出した伸びを見せているという。
「ハイブランドの中古品を手掛ける米リセールサイト『ザ・リアルリアル』はその代表格であり、同社の順調なビジネス拡大は、国際的なブランド企業でさえ提携を模索するほどになっています。シャネルのハンドバッグからグッチのドレス、ロレックスの時計に至るまで、中古あるいはビンテージの高級ブランド品が、同社の専用ウェブサイト上で順調に売れています」(在米日本人ビジネスマン)

 とはいえ、そのまま捨てられてしまう服も少なくない。都内のある産業廃棄物処理業者は、依頼品はすべて破砕して焼却するよう依頼されている。1点ずつ処分の証拠写真も求められる。横流しされるとブランドが傷つく恐れがあるからだ。処分業者は、倉庫に保管すれば資産となり税金がかかるため、焼却することでコストを抑えている。

 こうした衣料品ロスは、結局働く人にシワ寄せがくる。国連が2015年に採択した「持続可能な開発目標」(SDGs=エスディージーズ)では、商品などを作る生産者と購入する消費者に対して「作る責任、使う責任」を提唱している。毎日身に付ける服がムダを生んで大量のゴミを発生させ、製造現場で働く人の生活に悪影響を与えることを抑制しようというわけだ。

 廃棄問題解決に糸口が見えるのか――。『ZOZOTOWN』に見られるような「受注生産方式」の急成長が持続可能かどうかは、まだ未知数だ。

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