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書評「ほのエロ記」酒井順子著、角川書店

 30代・未婚・子供なしの女性を“負け犬”と称して、一躍時の人となった『負け犬の遠吠え』の著者が、今度はエロについて語る。
 エロといっても過激なものではなく、思春期に体験したようなあの甘酸っぱい記憶をまとめた『ほのエロ記』。春夏秋冬ごとに、日本のエロの原点を求めて著者が各地を旅をする痛快エッセイだ。

 「夏のエロ」ことグラビア写真集に対しては「意味もなく水に濡れ、意味もなく横たわり、上目づかいで、いつも髪が乱れている」と著者得意の鋭いツッコみが炸裂。
 そうかと思えば、人生で初めて足を踏み入れた「秋のエロ」ことポルノ映画館では、入るより先に「女2人でポルノ映画館に行くのに適した服装」について真剣に考えてみる。
 どこか人とは異なったモノの見方と、独自の観察眼は、さすがは今一番有名なエッセイスト。
 著者のファンであれば、男女関係なく必ず楽しめる作品だろう。(税別1400円)

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