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覆面パン調査「あんバター」(中央区銀座・木村屋總本店)

 覆面調査する必要のない老舗で、あんぱんファンを歓喜させる新作を発見した。やわらかめのフランスパンは程よく塩味が効いていて、中には十勝産粒あんと北海道産ホイップバターがたっぷり。北の大地の恵みが織りなす“冬のソナタ”だ。

 イタリア語の「sonata(ソナタ)」は、クラシック音楽用語では複数楽章で構成される器楽曲を指す。アップテンポからスローテンポなど楽章ごとに曲調が大きく変わるのが特徴。「あんバター」の第1楽章(包装)は威厳漂うスローテンポで始まる。
 和紙のような肌触りのパッケージが「特別なパンでございます」と訴える。コンビニのおにぎりなんかでもそうだけど、このパッケージに包まれているだけで高級感を醸し出す。

 第2楽章(外観)は軽快なリズムに転調。頂点から押し出されたようにホイップバターがちょこんと顔を出している。どことなくおちゃめ。今度は「バターがぎっしり入ってますよ」とアピールする。

 第3楽章(実食)では、それぞれの素材のよさが絶妙にハーモニーを奏でる。つぶつぶ感強めのあんにホイップバターが絡む。フランスパンとバターの相性も抜群。パンの塩味が十勝あんの上品な甘さを引き立てる。
 こ、こりゃ、うめえっす。北海道産食材はやっぱり冬場に限る。税抜き210円。

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