「あの勇ましいザッケローニ監督がワサビごときで…」とつい吹き出してしまいそうになるが当のザッケローニ監督にとってこれは大問題だったようだ。
ザッケローニ監督は大の親日家として知られているが、実は大のワサビファンでもある。刺身・寿司にはあたりまえ、さらにはトンカツ、挙句の果てには白飯にワサビをかけモリモリ食べているという。
確かにいつもの食事が採れない、というのはアスリートにとって大きなストレスになり、調子が狂うものなのであろう。しかし、それはアスリートだけに限った話ではなくエンターティナー、しいては芸人にとっても同じと言えるだろう。
落語家の立川談志はザッケローニ監督と同じく、空港で彼の大好物である「くさや」を没収されたというエピソードが残っている。
ある日、海外での仕事を行うため立川談志は某国の空港の税関をくぐった。
ところが、その日は何か雰囲気が違った。税関の麻薬犬が談志の周りをグルグルと周りはじめ、ついにはガブリと噛みついたのだ!
「すわ密入者か!」と税関や乗客は大騒ぎ。恐る恐る従業員が談志の尻ポケットを探ると出てきたのはラップにつつまれたくさやの干物一枚のみ。談志に吠えた麻薬犬は出てきたくさやに対し大きく吠えていた。当然、くさやはその場で没収…という笑い話である。
もっとも、この話は談志の弟子である立川志らくがおもしろおかしく着色したフィクションとも言われているが、談志が飛行機の中でくさややドリアンといった臭いのキツイものを食し、一杯やるというのは本当の話で、これには客室乗務員もホトホト困っているという。これに比べたらザッケローニ監督のワサビのほうがはるかに安全であるのは間違いない。
やはり一流のアスリート、エンターティナーには一流なりの「食べ物ジンクス」があるのだ。