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ヤンキースが「井川の失敗を繰り返すな!」でダルビッシュ獲得に本腰

 井川慶(32)の失敗がヤンキースを躍起にさせた!?

 米スポーツ専門局ESPN電子版が『大きな10の質問』なるタイトルで、米球界の今オフの話題、注目選手の去就等を特集した(10月30日/現地時間)。そのナンバー1の関心事項として、北海道日本ハムファイターズ・ダルビッシュ有(25)の争奪予想が掲載されたのは各紙既報通りだが、「実際に入札する球団は少ない」との見方が支配的になってきた。
 「簡単な話ですよ。ヤンキースが莫大な獲得資金を用意していることが分かり、多くの球団が太刀打ちできないと判断したからですよ」(現地特派員の1人)
 ESPN電子版が報じられた直後の情報であり、今後、また状況が変わってくるだろう。

 「今オフの米FA市場は『不況』です。例年だと、エース候補の投手が4、5人はいるんですが、今オフは2年連続15勝のウィルソンくらい。一時期はヤンキースのサバシアもFAを選択するとの情報も交錯していましたが、残留が決まり、大物と言える投手はウィルソンだけ。そういう投手の人材難がダルビッシュへの期待に繋がりました」(前出・同)
 サバシアは2015年までの7年契約を交わしていたが、3年目の今オフ、いったん契約を解除できる条項が含まれていた。慰留交渉が決裂した際、「残り4年9200万ドル(約70億円)を全てダルビッシュの獲得資金に充てる」とも報じられ、さらにガルシア残留決定後も「(5年契約満了の)井川の年俸400万ドルがある。さらに蓄えてきたものが…」と伝えられた。ヤンキースは第2回WBC後からダルビッシュ獲得の準備を進めてきたとされ、その情報が他球団に『ダルビッシュ入札』の二の足を踏ませたようだ。

 米国人メディアの1人がこう続ける。
 「ウィルソンは好左腕ですが、先発に転向して2年しか経っていません。それに性格がユニークなんです(笑)。タバコ、ドラッグ、アルコール、快楽セックスとは無縁のストレート・エッジで、中国の老荘思想や道教にも興味があり、あと、インタビューで宮本武蔵の五輪書を引用したこともありました(笑)。上原(浩治)、建山(義紀)も彼とは距離を置いていたようでした。先発としてのキャリア、性格面を考えると、ウィルソン獲得に積極的なチームは現れないと思いますが…」
 サバシア残留、ウィルソンの曲者ぶり。そう考えると、ダルビッシュがナンバー1と称賛されるのも分からなくはない。
 そして、ヤンキースがダルビッシュ獲得に熱心なのは、井川慶(32)の失敗も影響しているという。ヤンキースは井川との交渉権獲得のために2600万ドルの落札金を投じ、『5年2000万ドル』で契約した。
 「06年オフ、ヤンキースが獲得を狙っていたのは松坂(大輔)の方。ポスティングでレッドソックスに破れ、急遽切りかえたわけですが、井川に関するデータは松坂と比べ、かなり少なかった…。和田毅、岩隈久志のメジャー挑戦の可能性も伝えられていますが、今回はダルビッシュ一本に絞り込んでいました」(米メディア陣の1人)

 ヤンキースの今オフの補強ポイントは例年以上にハッキリしている。先発投手陣の強化だ。レンジャースも熱視線を送っているのは既報通りだが、当のダルビッシュの胸中はナゾである。夫人との離婚問題など身辺整理が付かないことから「一時期よりも後退した」との声も聞こえてきたが、日本ハムが今秋のドラフト会議で菅野智之(東海大)の強行指名に出たことを指し、「ダルビッシュ喪失後のチーム作りを進めている」と見る向きも日本国内にはある。
 「日本ハム球団の選手総年俸(予算)は約25億円。ダルビッシュの推定年俸は5億円。今季の成績を加味すれば、7億円強への昇給は必至で、1人の選手がチーム総年俸の約3分の1を占めることになる。経営面で言えば、ダルビッシュを繋ぎ止めておくのは苦しい」(球界関係者)

 今季、プロ野球実行委員会でポスティングシステムのルール改定が提議されたことがある。岩隈久志がアスレチックスとの交渉決裂と同時に残留を選択せざるを得なかったため、「交渉を1球団から上位3球団に拡大すべき」との意見が出た。この提議に真っ向から反論したのは、日本ハム球団だった。「交渉球団を拡大したら、事実上のFAと同じ」だと−−。その反論はダルビッシュの入札を見越していたことは、誰の目にも明らかだった。
 蛇足になるが、井川も今季で契約が満了し、フリーになった。現時点では彼に興味を示す日本球団もいくつかあるようだが、井川は「米他球団で巻き返すつもり」だと言う。その自信はどこから来るのか分からないが、ダルビッシュが身辺的理由で米挑戦をためらった場合、ヤンキースは投手補強プランを大幅に修正しなければならない。いや、ダルビッシュ一本に絞り込んでいる以上、先発投手陣の整備が間に合わない危険性すらある。
 ヤンキースをここまで熱くさせるのは…。ダルビッシュの実力、25歳という若さはもちろんだが、井川の失敗が相当悔しかったようである。

※メジャー関連のカタカナ表記は『メジャーリーグ選手名鑑2011年版』(廣済堂出版)を参考にいたしました。

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