昨オフはプライベートの問題(離婚問題)もあり、チームに残留したが、今オフ、その去就が大いに気になるところ。現時点でダルビッシュは、その意思を明らかにしていない。日本ハムは、メジャー移籍を希望した場合、本人の意向を尊重する方向で、あとはダルビッシュの判断次第ということになる。
ダルビッシュのメジャーでの評価は松坂大輔と同等と見られている。松坂はポスティングの結果、レッドソックスが入札に成功。当時のレートは1ドル=約117円で、西武には入札金の約5111万ドル(約60億円)という大金が転がり込み、松坂自身は総額5200万ドル(約61億円)で6年契約を結んだ。
日本ハムとしては戦力としてダルビッシュの流出は痛いところだが、松坂並みの入札金が入れば、球団経営が楽になり、あえて慰留はしない方針だ。
プライベートの問題も、いまだ解決していない状況だが、ここにきて、日本ハム残留に心が傾いてきたともいわれる。その理由はズバリ、“カネ”。為替レートは現在、異常な円高ドル安で、この相場が急激に円安へと向かうとは考えがたい。つまりは、円高が原因でダルビッシュが残留する可能性が出てきたという。
仮にダルビッシュがメジャーに移籍し、年俸1000万ドルで契約したとする。1ドルが約78円として、日本円では約7億8000万円となる。これが、松坂がメジャー入りした当時なら、約11億7000万円となっていたわけで、実に約4億円程度も目減りしたことになるのだ。
ダルビッシュの今季年俸は5億円(推定)といわれているが、日本ハムは残留した場合、7億円程度を考えているとも伝えられる。大社啓二球団オーナーは「あれだけの大エースが残ってくれるなら、10億円まで考える必要があるんじゃないか」とも語っている。年俸が日本と同等、もしくは日本以下であれば、わざわざ言葉や習慣が違う米国にまで渡る必要はないというわけだ。
ベテランのスポーツジャーナリストのA氏は、「円高の影響で、メジャーに行っても稼げないのが現状です。夢を追うのもいいですが、現実を見つめるのも大事。ダルビッシュは離婚問題も片づいていませんし、無理をしてまで行く必要もないでしょう。残留の可能性も出てきたんではないでしょうか」と語る。
あくまでも、夢を追ってメジャーに移籍するのか、現実を取って日本ハムに残留するのか、ダルビッシュの動向から目が離せなくなってきた。
(落合一郎)