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西武のクライマックス逆転進出の“影の立役者”ダルビッシュ 「心日本にあらず?」

 プロ野球パ・リーグの3位争いはし烈を極め、10月17日時点で、4位だった西武が、18日に日本ハムに4-3で辛勝。3位のオリックスは同日、ソフトバンクに1-4で敗れ、わずか勝率1毛差で西武が逆転。144試合目で3位を決め、CS(クライマックスシリーズ)への出場権を得た。

 この西武の逆転3位に影ながら貢献したのが、皮肉にも対戦相手の日本ハムのエース、ダルビッシュ有(25)だ。ダルビッシュは1週間前の11日の西武戦に先発し、完封で18勝目を挙げた。田中将大(22=楽天)、D.J.ホールトン(32=ソフトバンク)と最多勝争いをしていたダルビッシュ。ライバルの田中マー君が、16日に19勝目をマークしたため、ダルビッシュは最多勝獲得に向け、18日の西武戦に登板するものと思われていた。

 ところが、ダルビッシュは最多勝を捨てて登板を回避した。表向きの理由は、「CSファーストステージの初戦に備えるため。若手にチャンスを与えてほしい」とのものだった。ここで大きな疑問が残る。18日に登板しても、CSファーストステージ第1戦(29日)には、中10日で十分な休養が取れる。逆に18日に投げないことで、中17日となり、登板間隔が開きすぎて不安が残る。かえって、投げておいた方がスムーズな調整ができたはずで、この回避理由には説得力が乏しい。ダルビッシュに代わり、この日、先発したのは今季未勝利(4敗)だった吉川光夫(23)で、あっさり西武に攻略されて、西武の逆転3位を許してしまった。

 一方、オリックス対ソフトバンク戦では、マー君を追うホールトンが先発。ホールトンはオリックスを7回1失点に押さえ、19勝目を挙げてマー君に並んだ。オリックスとしては、自分のところには最多勝を狙うホールトンが来たのに、ライバルの西武戦ではダルビッシュが登板回避。予定通り、ダルビッシュが投げていれば、西武の勝ちを防いで、オリックスが3位となっていた可能性も高く、オリックスにとっては、ダルビッシュに恨み節のひとつでもいいたくなるだろう。

 初の最多勝が目の前にぶらさがっていたのに、あっさり放棄したダルビッシュ。18日には「来季メジャーに挑戦決定」と一部メディアで報じられた。この報道にダルビッシュは即座に反応。ツイッターで「何も決まっていない」と反論した。

 ダルビッシュが来季、メジャーへの挑戦を心に決めているのならば、最多勝のタイトルなど、どうでもいい話。もはや、チームにとっては消化試合となるゲームに登板するくらいなら、来季のためにも肩を休めた方がいいと考えてもいたしかたないところ。現時点でダルビッシュが来季、メジャーに挑むかどうかは定かではないが、逆転でCS進出を決めた西武にとっては、ダルビッシュ様様の結果となった。
(落合一郎)

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