「変化球の多い日本の投手にも対応できる優良外国人選手の1人。(横浜を退団する)そういう噂は耳にしていましたが…」(在京球団職員)
今季は95試合に出場し、打率2割6分、本塁打20、打点57。来日1年目の08年は打率こそ2割8分台だったが、得点圏打率が3割5分5厘(リーグ2位)、四球も選べる選球眼の良さで日本の野球に適応してみせ、日本ハム、横浜を渡り歩いた。
「09年オフ、日本ハムがスレッジを手放したのは、年俸が上がるのが目に見えていたからです。09年はペナントレース終盤、クライマックスシリーズで大活躍でしたからね。中田(翔)を育てる意向もあったので、再契約しなかったんです。当時、梨田監督がそのフロントの決定に怒っていました」(前出・同)
日本ハム時代のスレッジの推定年俸は1億3200万円。横浜とは1億8000万円で契約した(日本ハム時代の年俸は当時の選手名鑑を参考)。左バッターでありながら、「右投手との対戦打率が悪い」という不思議なところもあるが、「未知数の多い新外国人選手」より、確実に計算が立つ。今回、横浜が契約延長を見送った理由は「経営難」とされているが、スレッジ退団の噂はかなり早い時期から囁かれていた。
「守備の巧い選手ではありません。本人は『来季も日本でプレーしたい』と言っていましたが、指名打者制のパ・リーグ行きを狙っての発言だと思われます」(前出・同)
大型補強に成功したソフトバンクも、シーズン序盤からその動向に注目していたそうだ。日本ハム以外のパ・リーグ5球団は興味を持っているのではないだろうか。
「外国人選手(野手)に泣かされた巨人も見逃すはずがありません。巨人も今季で契約が終了するラミレスの去就を決めかねています。ラミレスも守備の巧い選手ではありませんが、スレッジは一塁も守れる。小笠原を三塁に戻せば、ラミレスを残留させても問題はない。ソフトバンクに対抗し、スレッジ獲得に乗り出すのでは…」(プロ野球解説者の1人)
巨人はライアル、途中加入のフィールズが振るわず、打線低迷の一因ともなった。「大田泰示が一人前になるまで」と割り切れば、重複する戦力ではない。また、楽天の星野仙一監督(64)も今オフの大型補強を示唆している。マートンの残留を確実にしていない阪神、廣瀬の欠場が響いた広島、主砲・ブランコに陰りの見え始めた中日、埼玉西武、千葉ロッテ、オリックスも“ゼロ”ではないだろう。
「ソフトバンクの王貞治会長がスレッジを評価しているんですよ。ソフトバンク、巨人と争うことになれば、マネーゲームになるのは必至です」(前出・在京球団職員)
同日、巨人は1点差で敗れた。9回表の最後の攻撃も二死一、三塁と迫りながら、「あと1本」が出なかった。原監督の脳裏にスレッジの顔が過った?