阪神は参謀役を外部招聘したいという。
「和田新監督同様、コーチスタッフのほとんどは内部昇格で、あとはOBを呼び戻す組閣になります。不自然なことはないし、和田新監督が動きやすい人事にてなればそれでいいと思いますが…」(プロ野球解説者)
フロント内部から漏れ伝わってきた話や、一部報道によれば、打撃コーチの1人として、アニキ・金本知憲外野手(43)が兼任コーチに着き、吉竹春樹・二軍監督(50)、藪恵壹・二軍投手コーチ(43)が一軍昇格する方向で調整されているという。楽天の関川浩一コーチ(42)、OB・赤星憲広氏(35)の招聘説も伝えられている。『外部招聘』では、落合中日の参謀・森繁和コーチ(56)、伊東勤・元西武監督(49)の名前も報じられていた。
「坂井オーナーが和田体制に外部からの参謀役を加えたいと主張しています。経験豊富な補佐役を付けるため? いや、和田新監督と佐竹二軍監督のコンビでは地味すぎると思ったらしく…」(球界関係者)
和田新監督が組閣に要望を出しているとしたら、現二軍守備・走塁コーチの中村豊が要所に着くだろう。同コーチは和田新監督からとくに信頼を置かれている。
「これからはトレード、FAなどの補強規模を小さくし、若手育成に重点を置くつもり。暫くは爆破的な強さは見られないかもしれない。将来のためとはいえ、そういう育成重視の時期を迎えるので、地味なコーチ人事になると客離れに拍車をかけると心配しているんですよ」(前出・同)
また、こんな指摘も聞かれた。和田新監督は『年上の部下』が入ると気を遣わなければならないので、年下だけで組閣したいと思っているそうだ。しかし、
「残留が予定されているコーチのなかに、和田新監督と折り合いの悪い人もいますから…」(在阪メディア陣の1人)
メジャーリーグでは、監督人事はチームビジョンなどの質疑を経て最終選考に入るという。現役時代の論功行賞で決まる日本とは大違いだが、選出された監督全員が成功しているわけではない。ただ、ゼネラルマネージャー以下フロントが監督人事に責任を負う体制にはなる。ここがいちばん重要ではないだろうか。梨田昌孝・日本ハム監督を招聘する方向でまとまり掛けたが、それを覆したのは「生え抜きの指揮官を育てる必要性」が指摘されたからであり、和田コーチが選ばれたのは「人望」だという。若い阪神OBで組閣される新体制に『華』はないかもしれないが、見方を変えれば、理想的ではある。
今季の敗因は勝っても負けても他人事のような指揮官の言動に、選手たちが士気を揚げられなかったせいもある。選手と生え抜きのコーチが馴れ合いの関係にならなければ、ネームバリューが弱くても、選手のやりやすい環境に一変するのではないだろうか。「監督に華は必要ない」と言った渡辺会長も、自軍の指揮官を指して、「他に適任者がいないから」と残留理由を語り、ファンを驚かせている。ともあれ、就任会見前からこれだけ騒がれるのだから、『伝統球団・阪神』の監督とは、気苦労も多そうである。(スポーツライター・飯山満)