まさか鳩山氏がレコードを出していたとは…。オークションには入札が殺到。タイムリミットの深夜0時、3万円オーバーで競り落とされた。
鳩山氏の25年来の知人でデビュー曲「Take HEART」を作詞作曲した北海道室蘭市の歯科医、浅沼晃明さん(65)は「この歌にスポットが当たる日が来るとは」と感慨深げに話している。
浅沼さんは当時、趣味で音楽活動をする一方、鳩山氏の後援会に所属。87年夏ごろ、衆院議員になって間もない鳩山氏から「『鳩山音頭』を作ろうと思っている」と相談を受けた。しかし、祖父は元首相、父は元外相という名門鳩山家のプリンス。都会的な雰囲気を兼ね備えるだけに、音頭は似合わないと思い「イメージソングの方がいい。歌ってくれるなら作りますよ」と提案、鳩山氏も喜んで承諾したという。
「広く雄々しき北の空 熱き思いを胸に秘め…」で始まる曲はグループサウンズ風。誰もが歌えるよう比較的狭い音域に仕上げた。レコーディングでは、すぐにOKが出た。浅沼さんは「だいぶ歌い込んでいるようでした」と振り返る。
浅沼さんは地元紙の取材に「今ならそんな提案絶対できません」などと答えている。条件さえ整えば、本人が当初熱望した「鳩山音頭」が日の目をみる可能性は高い。
「現職首相が歌手で再デビューすることになれば間違いなくレコード会社の争奪戦になる。名門出の鳩山さんが大衆音楽の『音頭』を歌うという意外性もいいし、暗い世相を吹き飛ばす明るさがある。へたな景気対策より即効性がありそうなので、ぜひ振り付けつきでお願いしたい」(音楽業界関係者)
あとは鳩山氏の決断待ちか。自慢のノドを披露してほしいものだ。
デビュー曲は1988年、限定約100枚を浅沼さんが自費で制作。後援会関係者に寄贈した。
「HEART」は「鳩」にかけた。曲名は訳すと「勇気づける」。浅沼さんは「歌詞に込めた、みんなを幸せに導くという思いをぜひ実現してほしい」と願っている。