「年俸1億5000万円・3年契約」という契約条件で、巨人のユニフォームを着ることとなった炭谷。23日のオープン戦(対楽天戦)では先発に起用され、エース・菅野智之とバッテリーを組むなど、今のところは首脳陣に期待されていることが伺える。
ただ、2年目、3年目はともかく、1年目に関しては過度な期待をしない方がいいかもしれない。なぜこのようなことがいえるのか。それには、過去炭谷と同じようにリーグ間移籍を果たした4名のFA捕手が関係している。実はこの4名、そのほとんどが移籍1年目のシーズンで苦しんでいるのだ。
2017年オフに日本ハムから中日に移籍した大野奨太は、直前のシーズンでは83試合に出場。しかし、移籍1年目は手術した右ひじの状態が思わしくなく、出場数は63試合と前年より減少。また、打撃3部門全てで数字を落としてもいる。
パンチ力を武器にオリックスで活躍した日高剛は、2012年オフに阪神に移籍。ただ、迎えた翌シーズンの7月初旬、味方野手と交錯したことにより戦線を離脱。これが長引いたことにより、結局は44試合の出場に留まっている。
ロッテで長らく里崎智也と正捕手を争った橋本将は、2009年オフに横浜(現DeNA)に移籍。前年オフに相川亮二(横浜→ヤクルト)が去ったこともあり、新天地でいきなり正捕手となる可能性は十分のようにも思われたが、骨折の影響もあり、その座を掴むことはできなかった。
残る1名であり、2010年オフに楽天から阪神に移籍した藤井彰人のみは、「8試合→99試合」と出場試合数を大きく伸ばしている。ただ、これを含めても、移籍1年目が失敗に終わる可能性は依然「75%」。先輩捕手たちが苦しんできた歴史を考えると、これから炭谷が迎えるシーズンも決して安泰とは言えないのかもしれない。
文 / 柴田雅人