一軍メンバーとして参加した春季キャンプだが、ブルペンに入り18.44メートル先の捕手に本格投球したのは、最終クールとなった27日のみ。宮崎キャンプでは、右ふくらはぎの違和感を訴え別メニューの調整で、沖縄に入ってもブルペンから短い距離を投げるなど独自の調整方法を貫いたが、開幕には間に合わなかった。
原監督は「思ったよりも投げられるという印象」と褒めたたえるも、「開幕一軍メンバーとしては時間が必要」と判断。開幕ローテーション入りは不可能と判断し、28日以降は2軍で調整させる方針を表明。宮本和知投手コーチは「5月くらいに出て来てくれれば」と話しているという。
岩隈は右肩故障の影響で、ここ2年間数試合しか登板しておらず、平均球速も130キロ程度に落ちているといわれる。巨人はそれでも37歳の彼と推定年俸5000万円で契約しており、彼のここ2年の成績を見れば、破格とも言える年俸だ。
通算170勝を挙げ、メジャーでも二年連続二桁勝利や、1シーズン16勝したこともある岩隈だが、力が落ちているだけに契約締結は賛否両論。実績のある右腕に期待する声があったものの、ソフトバンク時代の松坂大輔のように「プロリハビラーになるのではないか」という心配は常にあった。残念ながら、その第一歩を踏み出してしまった。
二軍調整の決まった岩隈への評価は分かれており、「ゆっくり調整すればいい」「苦しいときに出てきてくれればいい」「コーチとして活躍してもらいたい」などと、巨人ファンは温かい声をあげる。一方で、厳しい巨人ファンからは「だから言っただろ。何のためにとったのか」「不良債権すぎる」「上原と一緒に二軍の連覇を狙うのかな?」などの憤りが。そして、他球団のファンからは「さすが老人ホーム球団」「プロリハビラー待ったなしだね」「ロートルばかり欲しがって、こうなると思ってた」などと厳しい声が寄せられた。
「プロ野球の歴史上、肩を手術して復活した投手はほとんどいません。大概が、球速が落ち、かつてのような球が行かず辞めてしまうことになる。
岩隈の場合、楽天時代からチームの成績よりも自身の体を優先する投手で、野村克也氏が厳しく批判している。おそらく本人が万全と考えない限り、上には上がってこないでしょう。実際、1年しか猶予のない追い込まれた状況にもかかわらず、キャンプで無理をするような素振りは見せなかった。主力選手としては正しいのかもしれませんが、彼の今の立場でスロー調整はありえない。復活をめざすと言うよりは、1年野球を楽しむという感覚なのかもしれません」
復帰が5月頃にズレ込む見通しの岩隈。かつてのような投球を巨人で見せることができるのだろうか?
文・櫻井哲夫