しかし、巨人がこのような“えげつない”大型補強を敢行するのは、何も今に始まった話では無い。過去を振り返ってみても、大補強を敢行した年は複数存在している。本稿ではその中でも、筆者が特に“えげつない”と感じた補強例を以下に取り上げていきたい。
まず登場するのは2016年。この年1位広島に「17.5」ゲームもの大差をつけられた2位巨人は、山口俊(前DeNA)、森福允彦(前ソフトバンク)、陽岱鋼(前日本ハム)のFA戦士3名を球界史上初の“トリプル獲得”。これと同時に、2013年の楽天日本一に貢献したケーシー・マギーも獲得した。
次に取り上げるのは2007年。前年にFAで小笠原道大(前日本ハム)、門倉健(前横浜)、トレードで谷佳知(前オリックス)を獲得していた巨人だが、これにとどまらずこの年も大型補強を敢行。アレックス・ラミレス(前ヤクルト)、セス・グライシンガー(前ヤクルト)、マーク・クルーン(前横浜)といった他球団の主力外国人たちを一気に手中に収めた。
最後に紹介するのは2003年。この年巨人は小久保裕紀(前ダイエー)、タフィー・ローズ(前近鉄)といった他球団の4番を手に入れたが、それまでにも清原和博(前西武)、江藤智(前広島)、ロベルト・ペタジーニ(前ヤクルト)といった4番打者たちを獲得。この結果、プロ野球記録となる「259本」ものアーチをかけることとなった翌年の巨人打線は、“史上最強打線”として今なお語り継がれている。
以上が“えげつない”と筆者が感じた過去の大型補強だが、不思議なことにいずれの年も翌年の巨人は日本一を逃している。そう考えると今オフの補強も、必要以上に恐れる必要はないのかもしれない。
文 / 柴田雅人