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巨人のプロテクト名簿漏れは宝の山!広島と西武が狙う報復

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原辰徳

 オフの主役に急浮上してくるかもしれない。巨人がFAで埼玉西武から炭谷銀仁朗捕手、広島から丸佳浩外野手を獲得した。ファンの関心は「プロテクト名簿」に移っている。西武、広島はプロテクト名簿に記載された28人以外の巨人選手を獲得することができる。かつて広島は大竹寛(35)を巨人にFA流出させた際、若手投手の一岡を引き抜き、その一岡は今も一軍戦力として活躍している。巨人側からすれば、生え抜きのベテランを守るのか、それとも、有望な若手を死守するのか、迷うところ。西武も「第二の一岡」を狙っているだけに、巨人とFA喪失球団側との心理作戦も始まっている。

 「丸が巨人移籍を表明した直後(11月30日)、広島の鈴木清明球団本部長は『(年俸が)高くても獲りに行く可能性がある』と明言しました。若手ばかりをプロテクトし、ベテランを外すようなら、そのベテランを容赦なく一本釣りするという意味ですが、陽動作戦でしょう。広島は若手野手が育っているので、投手狙いだと予想されています」(スポーツ紙記者)

 しかし、巨人の若手投手に有望株は少ない。その影響だろう。あるベテラン投手が注目を集めている。元広島の大竹だ。

 イースタンリーグの首脳陣がこう言う。

 「今季、二軍では9勝を挙げ、防御率は2点台。巨人では戦力にならなかったようですが、上(一軍)でも十分通用すると思う。広島時代の実績もあるし、ひょっとしたら、巨人の一軍捕手との相性が悪くて。勝てないだけかも。環境を変えてやれば蘇るというのが、対戦したチームの一致した見方です」

 広島が一度出て行った大竹を呼び戻すのは、考えにくい。しかし、黒田、新井を呼び戻して自軍で引退させたことにより、広島は「将来の指導者候補」を確保した。また、彼らの帰還にも広島ファンは好意的だった。黒田とは退団した経緯も異なるが、戦力になるのであれば、ファンも考え方を変えるだろう。

 「巨人二軍と同じイースタンリーグの埼玉西武は、今季の大竹を見ていますからね。ベテラン投手は好不調に関係なく、ゲーム主導権を握る方法を知っています。西武投手陣はまだ若いので生きた教材としてのベテランを欲しています」(前出・同)

 また、西武においては16年オフの失敗もある。岸孝之を東北楽天に奪われた際、西武は人的補償を狙っていたが、「めぼしい選手がいなかった」とし、金銭的補償に切り換えた。今オフ、浅村をやはり東北楽天に奪われたが、また、「お目当てのタイプの選手がいなかった」なんてことになりかねない。炭谷を獲得した巨人からの人的補強を強くアテにしているという。

 「西武は救援陣が弱いので、リリーフタイプの投手もほしいはずです。同じくFAで巨人入りしたものの、活躍できなかった森福にも興味を示しています。阪神でくすぶっていた榎田をシーズン途中にトレード補強し、復活させたように、西武は左投手の蘇生が巧いんです」(球界関係者)

 一部メディアによれば、野手では陽岱鋼が調査されているそうだ。吉川光夫、野上亮磨、吉川大幾、石川慎吾、立岡宗一郎など移籍組も同様である。こうしたFA、トレードで途中加入した選手を巨人は生かしきれなかった。そんなくすぶっている選手を復活させれば、それだけで、広島、西武両球団への見方も変わるはずだ。いや、主力選手を奪われた報復にもなる。

 補強した選手の能力をフルに発揮させる方法とは…。

 巨人は岩隈久志まで獲得した。丸、炭谷を獲っただけでも“余剰人員”を増やしたというのに、「まだ補強は終わっていない」とも語っていたそうだ。(スポーツライター・飯山満)

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