そのメッセンジャーが国内FA権の取得条件を満たしたことは既報通りだが、来季から「外国人枠」ではなく、“日本人選手扱い”となる。つまり、来季から5人の外国人選手を一軍ベンチに入れることができるのだ。
「新外国人選手は先発タイプ? いや、2人目の大砲タイプを獲得するかもしれない」(球界関係者)
“5人目の助っ人”が必要かどうかは、シーズン終了後に判断すればいい。それが投手なのかもチーム成績を分析してから決めればいいのだが、阪神首脳陣はすでに方向性を見出していた。大砲タイプの話は本当のようだ。
「内部では、ロサリオ(29)の不振で持ちきりです。年俸3億4000万円というお高い買い物でしたし、渉外担当だけではなく、金本(知憲=50)監督自ら映像を見て獲得を決めました。『やってくれる』と期待していたので…」(前出・同)
不振についてだが、技術的な原因もないわけではない。しかし、首脳陣の認識のなかには“独自の分析論”もあった。
「4番を予定して獲得した選手。一人だから他球団のスコアラーに(苦手コースを)徹底的に分析されたのではないか、と」
大砲タイプを同時期に2人獲得すれば、相手バッテリーの攻め方も散漫になるのではないかというわけだ。
「福留、糸井の年齢的な懸念も重なっていると思います。期待した若手が伸び悩んだままなので、外国人野手の2人体制という作戦は間違っていません」(在阪記者)
だが、若手の育成を優先させるべきとの意見も根強く、「外部補強は必要最低限に」との声も聞かれた。どういうわけか、期待された若手は2年続けて活躍できない。
「台湾プロ野球に良い選手がいるからね。17年シーズンまで2年連続打率4割、17年三冠王と突出したバッターがいるんです。阪神はすでに現地調査を開始しています。メジャースカウトも視察していて、千葉ロッテ、埼玉西武、福岡ソフトバンクなども熱心だと聞いています」(特派記者)
WBC日本代表が台湾選抜チームと壮行試合を行った17年2月、楽天・則本からバックスクリーンへの特大アーチを放ったワン・ボーロン(24)のことだ。好選手であることは間違いないが、ロサリオも韓国球界を経て阪神入りしている。韓国プロ野球と日本の力量差、その韓国よりも「下」と目される台湾で活躍中と言われても、NPBでは同じような活躍はできないだろう。
しかし、「5人目の外国人選手は大砲タイプ」説をそのままワン・ボーロンの獲得に結びつける声もないわけではないが…。
また、ロサリオの起用法についてこんな声も聞かれた。
「過去2年も大砲タイプの外国人選手を獲得しています。彼らが活躍できなかったのは言うまでもありませんが、金本監督は早い時期に見切りをつけ、二軍に降格させました。でも、ロサリオに対しては我慢して使い続けています。どんな心境の変化があったのか…」(前出・プロ野球解説者)
韓国球界在籍中、ロサリオは夏場から調子を上げる傾向にあった。「覚醒」を待っているのかもしれないが、「移籍交渉の過程で、出場を約束させられたのではないか?」と勘繰る向きもないわけではない。後者だとしたら、5人目の外国人選手を獲るよりも、交渉のやり方を見直すべきだろう。
6月13日、親会社・阪急阪神ホールディングスの株主総会が開かれる。近年は金本体制を温かく見守る株主も多かったが、ロサリオの覚醒が遅れれば、今年は大荒れとなりそうだ。(スポーツライター・飯山満)