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野球 原監督、中日を警戒

 選手をとことん信頼する采配が実を結んだ。昨夜、東京ドームで行われたセ・リーグの大一番、巨人VS阪神戦。原巨人監督は周囲の雑音を完封する、さながら直球勝負で快勝。しかし、眼前の敵を倒したくらいで安堵するはずがない。昨年、リーグ制覇しながらプレーオフで苦汁を飲まされた落合中日へのリベンジしか頭にない。

 「まだ数字(視聴率)は出てないが、今年の最高視聴率になるんじゃないか。その数字次第も、プレーオフの中継も検討するのは間違いないな」
 そう言うのは、球界の長老OB。セ・リーグの覇権のゆくえを左右する大一番。野球ファンなら巨人ファン、阪神ファンならずとも注目する伝統の一戦を中継した日テレを珍しく褒める。
 それにしても光ったのが原監督の采配。我慢強さが選手をその気にさせた。巨人担当のスポーツ紙記者が言う。
 「頑固と言えば頑固なんですが、周囲からブーイングを食らっていたクルーンを使うあたりに選手を信頼する監督らしさが出ていた。この姿勢はシーズンを通して一貫している。それに答えなければと選手が発奮したんです」
 つい先日まで、球団会長の渡辺氏が原監督の続投を明言しなかった。非情にも2連覇しても、降板があることまで匂わせていた。
 「監督がおおらかな性格だから、耐えられた。選手とは指揮官というより兄貴分的な立場で接してきて、『すべては俺の責任』という態度を崩さなかった。選手はだから、監督を男にしようと頑張った」(前出・スポーツ紙記者)
 2連覇は決まったも同然だが、原監督の次の目標は何か。
 「『(優勝決定まで)1戦1戦、勝ち抜くことしか頭にない』と言っていますが、本心はそうじゃない。敵は昨シーズン、プレーオフ(クライマックスシリーズ)で3タテを食らった中日しか、眼中にない。すでに作戦は練っているはずです」(同)
 勝負師の落合中日監督は7日のヤクルト戦で主力選手を温存。1-17の大敗に動じるどころか、「これで使える選手と使えない選手がはっきりしたな」と不敵な笑みを浮かべてみせた。スポーツ紙の中日担当記者が解説する。
 「2位と3位が戦うプレーオフ第1ステージの相手はおそらく阪神。今シーズン、6勝16敗と大きく負け越しているのに、落合監督にあわてる様子はない。落ち目の阪神にシーズン中の勢いはないと見下している。短期決戦の戦い方を知っている落合監督の頭にあるのも、巨人でしょう」
 ソフトバンクの王監督がユニホームを脱ぎ、アメリカに端を発した金融恐慌はまだ底が見えず、それに伴う景気後退。世間をおおうのは暗いニュースばかり。こんなときこそ、原監督の笑顔が必要なのだ。
 日本シリーズまで3度の胴上げを見るのは巨人ファンの願い。その先には、長期政権が見えている。

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