初土俵から、わずか所要8場所のスピード出世で、名古屋場所(愛知県体育館=7月7日〜21日)で新十両に昇進した大砂嵐。
4日目からはラマダンに入り、日の出から日の入りまで、一切の飲食が禁じられている。食事もさることながら、この猛暑の中で、アスリートが水すら飲めないのは大きなハンディとなったが、深夜にいったん起きて夜食を摂ったり、うがいを多めにしたりして、しのいできた。
しかし、大砂嵐は「(ラマダンの)影響はない。さらにパワーが出るんだ」と、そのハンディをものともせず、ラマダン突入後の9日間を6勝3敗の好成績で乗り切って、12日目に区切りの8勝目を挙げた。
新十両の場所で勝ち越しを決めた大砂嵐は、「疲れているけど、勝ち越してホッとした」と笑顔。さらには、「勝ち越しはもう終わったこと。あと3番勝てるように、1日一番で頑張るだけ」と先を見据えた。
大砂嵐にとって、残り3日間は非常に大きな意味をもつ。あと2番以上勝って、星を2ケタに乗せれば、来場所、番付は十両上位に上がり、幕内を狙える地位になる。十両を2場所で卒業して、一気に入幕するためには、この先の3番の星取が重要。勝ち越しで満足せず、星を重ねてほしいものだが…。
(落合一郎)