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史上初のアフリカ出身関取が誕生へ 新十両場所は“難敵”ラマダン・断食との闘い

 史上初のアフリカ出身関取の誕生が確実となった。

 大相撲夏場所(両国国技館)13日目(5月24日)で、エジプト出身で東幕下7枚目の大砂嵐(21=本名=アブデラハム・シャーラン)が、十両・明瀬山を寄り切りで下して、7戦全勝で幕下優勝を果たした。これで、来場所での十両昇進が決定的となった。

 昇進が決まれば、前相撲からの所要場所は8場所で、外国出身力士としては、小錦、把瑠都と並び史上最速で、いずれも大関まで上がっている。日本人力士では板井、常幸龍らの6場所(幕下付出を除く)が最速。

 歓喜の涙を流した大砂嵐は「把瑠都関も小錦さんも大関。ボクももっと頑張ります」と綱への夢を馳せた。

 大砂嵐は16歳から相撲を始め、08年のエジプト国内の無差別級王者、世界ジュニア選手権で無差別級3位となり、11年にも世界ジュニア選手権で重量級3位となったアマチュア相撲の猛者だった。11年8月に来日し、数部屋で体験入門した後、大嶽部屋に入門。昨年3月の春場所(大阪)で初土俵を踏んだ。

 翌5月の夏場所(両国)では、7戦全勝で序ノ口優勝を果たし、以降、5勝1敗1休、6勝1敗、6勝1敗、5勝2敗、6勝1敗と好成績で、トントン拍子に番付を上げ、今場所は十両を狙える地位にいた。

 所属する大嶽部屋では10年7月に、野球賭博問題で前大嶽親方の元関脇・貴闘力が解雇される騒動があり、元十両・大竜が部屋を引き継いだ。現在、関取は一人もおらず、大嶽親方にとっても、大砂嵐の十両昇進は待望の関取誕生となる。

 素材としては文句ない大砂嵐だが、新十両となる名古屋場所では、対戦する力士とともに、強力な“難敵”が待ち受ける。大砂嵐はイスラム教徒であり、来場所開催中に慣例のラマダン(断食)と重なる。ラマダン中、日中は食事を摂ることが許されないため、来場所、大砂嵐は腹ペコで相撲を取らなければならない。そのハンディを抱えながら、どれだけの星を積み重ねられるか注目されるところだ。
(落合一郎)

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