白鵬独走のかげで、優勝争いにも絡めなかった日馬富士の責任は重大。初場所(1月=両国)で全勝優勝して、「日馬富士時代の到来」すら予感させたものだが、それもあえなく露と消え去ってしまった。
結局、日馬富士は終盤、3連敗を喫し、最終的にいわゆるクンロク(9勝6敗)の成績。これで、日馬富士は横綱昇進後の3場所中、2場所で1ケタ勝利にとどまった。新横綱となった昨年11月の九州場所(福岡)で、9勝6敗に終わり、横綱審議委員会から酷評されたが、今回もまた横審で批判のマトとなりそうだ。
3日目の高安戦で左足首、9日目の把瑠都戦で左ヒザを痛めたという日馬富士は、「ケガを治して、心と体を鍛えていきたい。来場所は全身全霊で頑張ります」と巻き返しを誓った。
北の湖理事長(元横綱)は「成績が極端だ。もっと安定した成績を挙げなければならない。それが横綱としての責任だ」と叱責。
師匠である伊勢ケ浜審判部長(元横綱・旭富士)は「横綱で9勝は厳しい。優勝争いから少し外れると集中力が欠ける。これからの課題だ」と話した。
もともと、日馬富士は大関時代から成績にムラがあった。09年夏場所(5月=両国)で初優勝を成し遂げ、初の綱獲りとなった翌場所(7月=名古屋場所)で9勝6敗と1ケタ。その後、クンロクの成績が3場所も続いた。
11年7月の名古屋場所でV2を果たした翌場所(9月=秋場所)では8勝7敗に終わり、九州場所(11月=福岡)でも8勝に終わっている。
そして、昨年7月の名古屋場所、9月の秋場所(両国)で2場所連続全勝優勝を成し遂げて、横綱に昇進したが、綱になっても、ムラの多い“持病”は克服できていないようだ。
日馬富士は133キロと、幕内力士のなかでは軽量であるため、故障が多いのは確か。だが、負けが込むと集中力を欠いてしまう精神面を治さないかぎり、今場所のような不振が目立ち、短命横綱になりかねないだろう。
また、誰も優勝争いに絡めなかったふがいない大関陣では、稀勢の里(26=鳴戸)が千秋楽に10勝目を挙げ、辛うじて2ケタにのせたが、琴奨菊(29=佐渡ヶ嶽)、鶴竜(27=井筒)はともに8勝(7敗)止まり。琴奨菊も鶴竜も、3場所連続で8勝に終わっており、もはや大関としての資格があるのかとの声が噴出しそうだ。
(落合一郎)