収支は経常収益99億7000万円に対し、経常費用は110億4000万円で、約10億7000万円の大幅赤字。これで、10年以降、3年連続の赤字となった。
11年は八百長問題で春場所(3月=大阪)や多くの巡業を中止し、5月の夏場所は入場無料の技量審査場所として開催した影響で、48億8000万円の赤字だった。
柱となる事業収益は5年ぶりにプラスに転じ、85億円。11年の54億4000万円、野球賭博問題で揺れた10年の84億3000万円を上回ったが、09年の95億8000万円には及ばなかった。
今年1月の初場所で6度の満員御礼が出るなど、客足が戻る傾向もあるが、八角広報部長(元横綱・北勝海)は「もっとチケットを売れるようにしなければならない。力士に魅力ある相撲を取ってもらい、人気回復に努めたい」と話した。
3年連続での赤字、しかも10億円超の赤字は民間企業なら由々しき問題で、とうに倒産していてもおかしくない。それでも、協会がのん気に余裕をかましているのにはワケがある。3年間赤字を垂れ流しながらも、いまだ協会の正味財産は365億1000万円も残っているからだ。これだけの財産があれば、悲壮感がなくても当然のことか…。
ただ、協会が移行を目指す公益財団法人では、赤字決算は好ましくないとされる。一度落ちた客足は、簡単には元には戻らないだろう。赤字を解消するために、一時的に力士や年寄の給与をカットすればいいのだが、協会にはそんな発想は全くないようだ。
先人が築いた財産を食い潰していながら、それにあぐらをかいているようでは、早期の収支改善は望めそうになさそうだ。
(落合一郎)