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八百長認定で解雇された蒼国来の復帰が決定! 浮き彫りとなったずさんな調査

 11年2月に発覚した大相撲の八百長問題で、クロ認定されて解雇された中国出身の元幕内・蒼国来(29=本名・恩和図布新=おんわとうふしん)氏の復帰が決まった。

 蒼国来は同年4月11日に八百長関与の認定をされ、日本相撲協会から引退勧告を受けた。潔白を主張し、これに応じなかったため、同13日に解雇された。蒼国来は幕内力士としての地位確認を求めて訴訟し、3月25日、東京地裁は問題とされた取組で八百長があったとは認めず、解雇は無効として力士の地位にあると確認し、解雇後の給与の支払いを命じる判決を下した。

 この事態を受けて、協会は4月3日、臨時理事会を開き、「判決を覆すだけの証拠が乏しい」として、満場一致で控訴断念を決定。蒼国来の復帰を認めることを決めた。

 理事会後、北の湖理事長(元横綱)は蒼国来、師匠だった荒汐親方(元小結・大豊)と面談し、「申し訳なかった」と謝罪。復帰時期は2年のブランクを考慮して、5月の夏場所(両国)ではなく、7月の名古屋場所(7月7日初日=愛知県体育館)とした。番付に関しては、当初、「幕内最下位格」との案が出ていたが、解雇となった時点の地位である西前頭15枚目とし、蒼国来に最大限の配慮をみせた。蒼国来は27日の横綱審議委員稽古総見から、協会の行事に加わる。

 北の湖理事長は「蒼国来は疑われたことにより、ファンの目は厳しくなると思われますが、より一層稽古に精進し、ファンを魅了する相撲を取ることを期待します」とのコメントを発表。

 蒼国来は「この2年間、つらかった。もう一度、好きな相撲が取れてうれしい。支えてくれた方に恩返しして、協会にも必要とされるよう、今まで以上にいい相撲を取りたい」と意欲を見せた。

 協会では一度、角界を去った力士の復帰を認めない規定になっているが、異例な措置を取らなければならなくなった背景は、八百長調査のずさんさだった。

 当時、この問題を調べたのは特別調査委員会だったが、物証が乏しいなかで、調査は難航。認定の判断基準となったのは、早くから八百長を認めた元竹縄親方(元幕内・春日錦)、元幕内・千代白鵬のメールの解析結果や、聴き取り調査の内容や態度などだった。蒼国来の裁判においては、元竹縄親方の証言があいまいだったことも敗訴の要因となった。

 危機管理委員会委員長を務める宗像紀夫理事(元東京地検特捜部長)は、「こんな薄い証拠で処分していいのかという内容だった。当時は非常に世論が盛り上がり急いで処分を出さないと、という状況になってしまった」と、調査のずさんさを認めた。

 宗像理事は八百長認定で追放された他の24人の力士、親方に関して、申し出があれば、「きちっとした調査、親切丁寧な対応をしていく」とコメントしたが、さすがに2年の月日は長い。復帰を求めて係争中の元十両・星風を除き、それぞれ、新たな人生を歩んでおり、もはや時すでに遅し。もし、シロでありながら、クロとみなされて角界を追放された者がいたとしたなら、不幸というしかない。
(落合一郎)

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