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キャンプイン直前情報『ヤクルト』編 投打のバランスはピカイチ 我慢の采配も…

 小川淳司新監督(53)の新たな一面が見られるのではないだろうか。
 高田繁監督(当時)が指揮した5月26日までの勝率は2割8分9厘。首位とのゲームは「15」。この優勝戦線から完全に脱落した状況を建て直し、クライマックスシリーズ進出圏にチームを浮上させたのは、小川監督代行の手腕である。今だから言えるが、昨季のキャンプ後半からオープン戦の期間、主力選手は「今年はダメだ〜」とボヤキまくっていた。前任者を批難していたのではない。彼らは補強らしい補強もされなかった現状を嘆いていたような口ぶりだった。

 小川代行に指揮権が移った2試合目の5月29日(対オリックス戦)、エース・石川雅規(30)が6回3失点で勝利投手となった。この日からベンチのムードも一変し、11連勝をマークする。先発投手陣の復調が大きかった。まず、反撃の狼煙を上げた石川だが、このオリックス戦の勝利が『今季初白星』であり、「開幕から6連敗」していた。初登板から2勝後、6試合に登板して勝ち星に見放されていた館山勝平(29)も復調し、自身5連敗中だった由規(21)も78日ぶりに復活。村中恭兵(23)も自信を深めつつあった。
 打撃陣も同様だった。5月、月間打率が2割1分8厘とスランプに陥っていた青木宣親(28)も盛り返してきた。新外国人選手のホワイトセルがチームに合流したのは、6月26日。8月の打率は3割6分8厘、本塁打「7」。ホワイトセルが牽引役となり、8月の『チーム打率は3割1分2厘。「小川代行が最初から指揮を取っていれば…」の声も聞かれるほどだった。

 小川代行の持ち味は、出場機会に飢えていた中堅・若手の思い切った登用だろう。
結果論だが、高田監督が指揮を取っていた時期は、石川、館山、由規の先発陣が不振で、青木も大ブレーキだった。1年間を戦ううえで、投打の主力選手が必ず『スランプ』はある。そのとき、小川監督は“チームの看板選手”をベンチに下げ、中堅・若手を抜擢するだろうか。長いペナントレースを戦う以上、不振選手を復調させるための『敗戦』を受け入れなければならないはずだ。
 4番が予定されているホワイトセルがキーマンだろう。昨季は途中入団のため、ノーマークに近かったが、セ・リーグ5球団はかなり研究していると聞く。やはり、小川監督は昨季とは違った采配も振るわなければならない…。
 昨年秋のドラフトで、ヤクルトは七條祐樹(26)、久古健太郎(24)の2投手を指名した(4位・又野知弥は外野手予定)。左のサイドスロー・久古は初対戦のバッターはかなり見にくい印象を持つのではないだろうか。また、3季目となる赤川克紀(20)はファーム戦でチーム最多となる95イニングを投げている。赤川は一軍登板のチャンスを与えられるだろう。そのとき、成長を見せてくれれば、小川監督が我慢しなければならない期間はかなり短縮できる。(スポーツライター・飯山満)

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