まず1人目は、昨年11月場所で初優勝を果たした貴景勝。1月場所で「11勝」をマークすると一応昇進目安をクリアすることになるが、現時点ではそこまで機運が高まっていない。
勝ち星・内容共にハイレベルなものが求められていることを考えると、1月場所で無理に大関を狙うのは得策ではない。次の3月場所で勝負をかけるため、まずはこの場所2ケタをキープし、初優勝が“確変”ではなかったことを証明したいところだ。
2人目に登場するのは、初優勝した昨年7月場所の後、2場所に渡って大関取りに挑戦した御嶽海。11月場所で「7勝8敗」と負け越したことで、1度目の挑戦は惜しくも失敗となってしまった。
この2場所で喫した黒星14個の内訳は、対横綱・大関が5個、そして対関脇以下が9個。この数字を見ても分かる通り、失敗の要因はもったいない取りこぼしにある。この課題をクリアすることができれば、実力は確かなだけに2度目の挑戦も十分あり得るだろう。
最後となる3人目には、東前頭13枚目で臨んだ11月場所で「11勝4敗」をマークし、敢闘賞も受賞した阿武咲を挙げたい。昨年は右膝の怪我で一時十両まで番付を下げたが、それまでは三役である小結に在位していた力士だ。
新入幕の2017年5月場所から3場所連続10勝で一気に小結まで駆け上がったこと、そして先に述べた11月場所の成績を考えると、既に一定の実力は兼ね備えている。怪我の影響は少し気がかりだが、万全ならば“台風の目”となる可能性は十分だろう。
一昨年は高安、そして昨年は栃ノ心が射止めた大関の座。果たして3年連続で新大関は誕生するのか、まずは1月場所の貴景勝が注目を集めることになりそうだ。
文 / 柴田雅人