ただ、幕内ではなく十両の年間最多勝となると、知らないという方がほとんどかもしれない。十両で白星を積み重ねるには良くも悪くも“安定感”が必要となるが、その能力を今年1番発揮していたのは一体どの力士なのか。上位6名の力士たちを、下位から順に以下に見ていこう。
「44勝」で6位に入ったのは矢後。3月場所で新十両となった24歳は、その後じりじりと番付を上昇させ11月場所では東十両筆頭に位置。その場所で「10勝5敗」の好成績を収めたことで、来年初場所での新入幕が確実視されている。
「46勝」で同率4位となったのは、徳勝龍と水戸龍の2名。ただ、水戸龍は初場所新十両からのこの結果だが、徳勝龍は昨年9月場所を最後に幕内から遠ざかっている。このことを考えると、数字は同じでも意味合いが異なると言わざるを得ない。
「47勝」で3位になったのは、7月場所で新入幕も果たした琴恵光。 幕内では「3勝12敗」と壁に跳ね返されたが、十両5場所全て勝ち越し。西十両筆頭で臨んだ11月場所でも「8勝7敗」と勝ち越しているため、来場所の返り入幕が濃厚となっている。
「48勝」をマークし、2位につけたのは貴源治。今年は前師匠の元貴乃花親方、自身の双子の兄である貴公俊、そして兄弟子の貴ノ岩にそれぞれ騒動が勃発した1年だったが、そんな苦難にもめげず着実に力をつけていた。
そして、「50勝」で栄えある1位に輝いたのは大翔鵬。モンゴル出身の24歳は、トップ6の中で唯一十両6場所全て勝ち越し。来場所での新入幕は少々厳しい見通しだが、この調子を維持できるなら昇進も時間の問題だろう。
以上が、今年の十両年間最多勝上位6名である。1年間十両で溜め込んだ力を武器に、果たして来年は幕内でも白星を積み重ねることはできるだろうか。
文 / 柴田雅人