西村徳文新監督のもと、春季キャンプ直前の1月に発表された今年のキャッチフレーズには、“アグレッシブ”という言葉を掲げられた。チームの名称略も『Bs』から『B』に変更。ユニフォームも若干のモデルチェンジが行われており、掲示されるポスターのセンターには、吉田正尚、山岡泰輔、山本由伸の猛牛三銃士がチームの顔として売り出された。
「若いからとか一年目だからといって、遠慮しないで欲しい」
西村監督は若手中心に生まれ変わったチームを、若いからこそ出来るアグレッシブなチームにしていこうと、昨年秋の高知キャンプには、多数の選手を参加させ、選手を鼓舞しながら競争を促した。春季キャンプでは、とにかく若い選手を積極的に実戦に起用。コーチ陣も西村監督の意向を踏まえた上で、アドバイスを送っていた。そうした中から出てきたのが、西浦颯大であり、佐野皓大であり、ルーキーの中川圭太である。
「佐野さんの方がアピールしてないですか?」
高卒2年目の西浦は、足のスペシャリストとして西村監督が育成に着手した佐野を常にライバル視していた。春季キャンプで最後のマイクロバスに乗って宿舎に戻るのは、西浦と若月健矢の2人。若月は今シーズン盗塁阻止率がリーグ1位となったが、連日の居残り練習はシーズンにも生かされていたはずだ。西浦も開幕一軍のみならず、開幕スタメンの座も勝ち取ることが出来た。
投手陣では、山本由伸と同級生の榊原翼が、自身の投球に納得行かなかったのか常に悩みながら投げ込む姿が印象的だった。「何が悪いんだよ」「今の球いいじゃん」と、球を受ける若月が榊原を鼓舞し、それを笑みを浮かべながら見ていた高山郁夫コーチがアドバイスを送ると、榊原の力あるピッチングが戻っていくのが、ブルペンで見ていたこちら側にも伝わったのだ。榊原はシーズン途中で離脱してしまったが、若月とのバッテリーはシーズン中も話題になり、榊原はオリックス初の育成出身選手による勝ち星を挙げるなど、先発投手で防御率も2.72と安定していたことから、来シーズンに期待が掛かる。
その他、盗塁数が大きく増えるなど、チームは最下位に終わったが、今年に関しては、とてもアグレッシブな最下位だったのではないだろうか。いろいろな意味で、アグレッシブな考えを身につけた選手たちに結果が求められるのは、来シーズンということになるだろう。東京オリンピック出場を目指す猛牛三銃士の次に飛び出すのは誰か?来年も2月の宮崎から熾烈な競争が始まるはずだ。
(どら増田)