車両内部にはベンチシートがありほぼ満席。冷え込む日には特に乗車率がアップし、一時的に満員状態になることも珍しくないという。若者が年配の女性に席をゆずるシーンも目撃した。
さすがに、混み合ってくると降車する乗客が出るためスシ詰めまではいかないが、まるで冬季限定満員電車の様相だ。座席でメールをカチャカチャいじっていた女性(20)は「友達から待ち合わせに遅れるとメールがあったんですよ。外で待つのはキツいし、あったかそうなので乗ってみたら、座れるし、これは具合いいなと」とすっかり気にいった様子だった。
この車両は昭和29年、超軽量電車5000型として東横線に登場した記念すべき第1号車。シブい緑色のボディーに丸型ヘッドランプ、先端部に掲げたヘッドマークには旧字体で「澁谷⇔櫻木町」とある。車内には渋谷周辺の古い写真パネルがかかり、若者の街にはどこか不釣り合いなレトロな雰囲気が漂う。そんなギャップが物珍しさに拍車をかけているのかもしれない。
いまは「渋谷大好き写真コンテスト」の受賞作も展示中。どうせ人を待つなら、暖かい車内で展示を眺めながら…のほうがイライラせずにすみそうだ。