序列だけを考えると豪栄道、高安、栃ノ心の3大関が候補といえるが、果たしてこの中に今年綱を張ることになる力士はいるのだろうか。昨年の成績を元に、彼らの可能性を探っていこう。
まずは豪栄道から。2016年9月場所ではカド番からの全勝優勝を成し遂げた経験も持つ大関だが、昨年はカド番1回、2ケタ勝利以下4回とあまり振るわなかった。
昨年の成績を含め、カド番7回、2ケタ勝利以下21回と大関では安定感を発揮できていない豪栄道。こうした事実を考えると、今年中の横綱昇進は非常に厳しいと言わざるを得ない。まずは取りこぼしの数を減らし、2ケタの回数を増やすことから始める必要がありそうだ。
次は高安。昨年は左腕の怪我で5月場所を全休するという不運があったものの、怪我明けの7月場所を除く4場所ではいずれも2ケタ以上の成績(内優勝次点3回)をマークした。
体調が万全ならば、既にある程度の実力は保証されている高安。あとは「腰高の修正」、「対策が進むかち上げの改良」、「勝負弱さの払しょく」といった課題をクリアできれば、今年中に自身初の優勝、そして横綱の座を引き寄せる可能性は高い。
最後に登場するのは栃ノ心。昇進前3場所で「37勝」を荒稼ぎしたジョージア出身の31歳だが、昇進後3場所は右足親指を怪我した影響で「22勝」と大きく星を落としている。
怪我が治らぬまま強行出場を繰り返せば、照ノ富士の二の舞になることは濃厚。ただ、しっかりと完治させることができれば、平幕優勝を果たした1月場所のような爆発力を武器に、一気に綱に迫る可能性も否定はできないところだ。
以上の内容から考えると、今年綱を張る可能性が最も高いのは高安となる。果たして予想は当たるのか外れるのか、その答え合わせは初場所からがスタートだ。
文 / 柴田雅人