同社のキャッチフレーズは「結果にコミットする」で、同社を率いる瀬戸社長は24歳で会社を立ち上げ、瞬く間に売上高1000億円を超える巨大グループを作り上げた。売り上げは5年で6倍という急成長ぶり。M&Aは5年間で75社に増えた。「毎月10社の資産査定を行い、平均1社を買収する」と、つい1年前まで瀬戸社長は豪語していた。
実際M&Aで拡大したライザップのグループ事業は、主に4つのグループに分けられる。①美容・健康関連事業、②アパレル関連事業、③住関連ライフスタイル事業、④エンターテイメント事業だ。
美容・健康関連事業は、主軸であるライザップ(完全個室のプライベートジム)に加え、ボディーメイクランジェリーやどろ豆乳石鹸『どろあわわ』、コラーゲン繊維のマスクなども手掛けている。
アパレル関連事業では、ジーンズメイトを傘下に入れたことは有名で、その他女性服を取り扱う会社を傘下に収めた。住関連ライフスタイル事業は、インテリア雑貨やリフォーム事業、メガソーラー事業を手掛け、エンターテイメント事業では、フィットネスクラブやカフェの運営、『ミナミの帝王』を世に輩出した『週刊漫画ゴラク』を出版している日本文芸社も傘下に収めている。
実はM&Aには、会計上のメリットがある。どういうことか。
「業績の悪い企業を割安で買収し、そこで発生した『負の“のれん”』(純資産額より買収金額が下回った場合の差額)を割安購入益として、利益に計上するという手法です。単純に、純資産額10億円の企業を3億円で買収すれば、7億円の割安購入益が発生することになるわけです。これは、IFRS(国際会計基準)で認められているため粉飾ではありませんが、見掛け上は営業利益のかさ上げになります。18年3月期の営業利益136億円のうち、約半分の74億円が割安購入益でした。18年3月期は、前期比100%超の収益増加を実現し、売上収益は6期続けて増収、営業利益は5期連続の増益でしたが…」(経済アナリスト)
同社の買収戦略を“赤字企業の爆買い”と批判する専門家もいたが、案の定、この爆買いが裏目に出て、11月14日に18年4〜9月期(中間)決算を発表した際には、IFRSの営業損益が88億円の赤字と前年同期の49億円の黒字から大幅に悪化したと公表したばかりか、同時に18年度通期の営業損益の見通しを、従来の230億円の黒字から33億円の赤字へと一気に引き下げた。
このため同社のキャッチフレーズから「赤字という結果にどうコミットするのか」と茶化されたりもした。ちなみに、この決算説明会で瀬戸社長は、「ライザップを信じてご期待いただいていた皆様を、大きく大きく裏切る結果になってしまった」と深く頭を下げている。
同社が大きくつまずいたのは、ワンダーコーポレーションの買収だ。
「この会社は、ゲームソフトや書籍を扱う『Wonder GOO』、CD・DVD販売の『新星堂』などを北関東中心に全国展開していました。この買収には、ワンダーの店舗に、減量ジムや買収子会社の雑貨店舗などを出店していく狙いがあったのですが、計画通りに進まなかったのです」(同)
瀬戸際に立つ瀬戸社長に未来は開けるか。