6月20日、大阪・ボディメーカーコロシアム(大阪府立体育会館)で、井岡がWBA同級王者・八重樫東(29=大橋)と統一戦を行うことが決まった。日本人同士によるWBC、WBA王者の統一戦は男子では史上初で、まさに究極のビッグマッチとなる。
4月9日に大阪市内で会見に臨んだ井岡は、「この階級では、もう統一戦しか考えていなかった。主役は自分。日本ボクシング界に僕が新たな歴史を刻みたい。せっかくの好カード。判定でもKOでも内容の濃い、いい試合にしたい」と意気込んだ。対する八重樫は「脇役でも主役を食うことがあることをお見せしたい。すごく待ち望んだカード。強い選手に勝つのが1番の目標であり、目的」と必勝を期した。
井岡は昨年2月11日、WBC同級王者=オーレドン・シッサマーチャイ(タイ)を破り、日本ボクシング史上最速の7戦目で王座奪取。同年8月10日、同級1位=フアン・エルナンデス(メキシコ)を判定で下して初V。同年12月31日には、同級9位=ヨードグン・トーチャルンチャイ(タイ)を1回1分38秒でKOし、V2に成功した。
かたや、八重樫は昨年10月24日、WBA同級王者=ポンサワン・ポープラムック(タイ)をTKOで破り、同王座を奪取。今回の決戦が初防衛戦となる。
八重樫の王座奪取後、八重樫陣営が井岡陣営に統一戦をアプローチ。井岡が大みそかに防衛成功した後、今年1月から水面下で両陣営による交渉が本格的にスタートした。最大のネックとなったのが、興行権とテレビ放送の問題。井岡にはTBS、八重樫にはテレビ東京がバックに付いており、興行権とともに、どちらで放送するかで、交渉は難航を極めたもよう。
井岡陣営は「やるのは(地元の)大阪。テレビ放送はTBS」で譲らず、最終的に八重樫陣営が譲歩した格好となった。井岡は減量で苦しんでおり、この試合を最後に、階級を上げることを示唆しているだけに、2度と組まれないかもしれない大一番に期待は高まる。
この試合を生中継することが決まったTBSの片山譲治プロデューサーは、「視聴率は平均20%を超えてほしい。それだけのコンテンツ。この試合が、ボクシング人気が高まるきっかけになれば」と期待する。
井岡が世界に挑戦した試合で10.9%だった視聴率は、昨年8月の初V戦では16.6%に跳ね上がった。大みそかのV2戦はスポーツバラエティー「ビートたけしの勝手にスポーツ国民栄誉SHOW2011 豪華アスリート総登場5時間半生放送SP」内に組み込まれた関係で、6.4%に終わったが、TBSの井岡に対する期待は高い。史上初のビッグマッチ実現で、思惑通り、20%の大台超えがなるか注目されるところだ。
(落合一郎)