それにしても、世界戦にふさわしくない凡戦だった。無名の挑戦者が相手とあって、注目されたのは興毅のKO一点のみ。ところが、試合が始まってみれば、両者とも決定打を欠いた。マナカネは手数で勝ったが、興毅にダメージはなし。興毅も有効打を打てず、ダウンすら奪えず。12回を通じて、全く見せ場がなかった試合に、KOを期待していた観客からはブーイングも飛んだ。
試合後、興毅は2回にマナカネの頭を打った際に左拳を痛めたことを明らかにしたが、その負傷を割り引いても、大きな実力差があると思われた無名の挑戦者相手に、凡戦を繰り広げたのでは、世界王者としての資質が問われる。
興毅が同王座を奪取して以降、選んできた挑戦者は14位、8位、12位、11位と、勝ちが見込めるランキング下位の無名選手ばかり。それなのに、格下相手にぶざまな試合を見せていては、先が思いやられる。
次戦は8月頃の予定で、同級暫定王者のウーゴ・ルイス(メキシコ)との指名試合、5階級を制覇したWBO同級王者=ホルヘ・アルセ(メキシコ)との統一戦もプランされている。ただ、左拳を痛めたとあって、ビッグマッチに打って出るかは微妙。指名試合の期限は年内で、次戦は再び勝てる相手を選択して、お茶を濁す可能性もある。世界チャンピオンで4度防衛していながら、バンタム級での実力が計れない興毅。強さを証明するなら、強豪選手との対戦を組むしかないだろう。
また、同興行で行われたWBA世界スーパーフライ級休養王者・清水智信(金子)と、同級正規王者=・テーパリット・ゴーキャットジム(タイ)の統一戦は、テーパリットが9回2分15秒、TKO勝ちで王座を統一。世界2階級制覇を目指す亀田兄弟の次男・大毅は、ポンペッチ・ツインズジム(タイ)を2回2分53秒、KOで下した。
なお、興毅戦のラウンドガールに起用された国生さゆりは、アニメ「ルパン三世」の峰不二子をイメージした上下黒のキャットスーツで登場。体のラインがハッキリ分かる衣装で、引き締まったボディを披露。このシーンはカットされることはなく、約3秒ほど、テレビ中継(TBS系列)で流されたが、下はパンツルックで肌の露出はなく、一部の視聴者を落胆させた。
(落合一郎)