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RIZIN.11で感じたヘビー級ファイターの可能性

 7月29日にさいたまスーパーアリーナで行われた「RIZIN.11」は、大会前から大きな話題となっていたメインイベントの浅倉カンナvsRENAや、五味隆典のおよそ4年ぶりとなるKO勝利で盛り上がりを見せた。

 他に2試合が組まれたヘビー級の試合では、期待の日本人ファイター・シビサイ頌真が初出場するなど、これまでになかった華やかさと熱気を生んだ。

■リング上に激しさと「重み」を
2007年まで開催され、日本格闘技界の象徴的イベントとなった「PRIDE」ではヘビー級中心だったことがファンから絶大な支持を得た理由の一つと言える。エメリヤーエンコ・ヒョードルやアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ、ミルコ・クロコップ、ヴァンダレイ・シウバといった体重100㎏前後のファイター達がさまざまな個性を発揮し、毎年のようにヘビー級のグランプリやタイトルマッチが行われ、リング上の熱は止まることがなかった。その後、PRIDE消滅により有力なヘビー級選手はアメリカをはじめとする海外へと戦いの場を求め現在に至っている。

今回のRIZIN.11では4人の重量級の選手が参戦。それぞれが独自の存在感を放ち、今後に向けての期待を大いに感じさせる試合を見せてくれた。

 ともに初参戦となったシビサイ頌真とボルドプレフ・ウヌルジャルガルの試合では終始グラウンドの展開が続いた。120㎏の体重を誇るウヌルジャルガルが上になってイニシアチブを握り、シビサイも1R終盤には見事なスイープで体勢を逆転させるなど技術の高さを披露した。とはいえ、やはり体重差はいかんともしがたく(シビサイは108㎏)、ウヌルジャルガルは終始試合をコントロール。アームロックや重さのあるパウンドでダメージを与え続けたウヌルジャルガルが判定で初勝利をつかんだ。判定時には会場からブーイングが上がったものの、ヘビー級ならではとも言える重量感あふれるグラウンドの攻防には新鮮さがあり、見ごたえは十分だった。

■RIZIN初期から支えるヘビー級ファイターたち
 第8試合のイリー・プロハースカvsブルーノ・カッペローザは壮絶な打ち合いに。試合時間はわずか1分41秒だったものの、両者ともスタンディングでの打撃戦に挑み、ともにダメージで足をふらつかせる場面も見られ、首相撲からの膝蹴りが繰り出されるなど激しい内容となった。結局、熱戦を「チェコの怪鳥」プロハースカが制した。

両者は2015年の年末に開催されたRIZIN旗揚げ戦にも出場。へビー級トーナメントを争う2人はともに打撃がベースのファイトスタイルだ。カッペローザは格闘大国ブラジル出身で、最近ではブラジル国内を主戦場とし、プロハースカはこれまでに石井慧や藤田和之といった日本人ファイターをKOで下している。実力・実績ともに申し分のない両者の試合は五味隆典の試合の後に組まれ、今大会の「核」にしようと込められた期待を決して裏切ることはなかった。

 この試合後には大相撲から転向した大砂嵐がリング上でマイクを握り、9月大会の参戦へ向けファンにあいさつしている。彼は年齢も26歳と若く、重量級ファイターとして大きな期待が向けられていることは言うまでもない。

 有力選手を海外から獲得する難しさは変わらないが、ヘビー級の隆盛なくして日本格闘技界の復活はあり得ない。多くの才能が輝きを放つ中・軽量級や、大会のメインを張るまでに飛躍した女子部門の他、RIZINをさらに盛り上げていくためにはヘビー級戦線の活性化が何よりも求められる。(佐藤 文孝)

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