今や芸能人が報道番組に出ることは珍しい風景ではない。その元祖的な存在として、元大物お笑い芸人がいる。
「島田紳助さんですね。1989年にスタートした『サンデープロジェクト』(テレビ朝日系)の司会者を務めました。これは出演者の田原総一朗に見出されたともいわれています。当時はツッパリヤンキーキャラ漫才でブレイクした紳助さんが、報道番組の司会をすることには強い批判もあったようです。のちに時事ニュースを取り上げた『紳助のサルでもわかるニュース』(日本テレビ系)を立ち上げ、人気教養バラエティ番組となりました」(放送作家)
同時期には、『平成教育委員会』(フジテレビ系)も放送され教養ブームがあった。いわば紳助さんは時代を読んでいたともいえるだろう。
「今では信じられないことですが、かつてはアナウンサーはニュース原稿を読み上げるだけで、何か意見を差し挟むことは許されていませんでした。それを変えたのが、1985年に始まった『ニュースステーション』(テレビ朝日系)です。メインキャスターの久米宏は、舌鋒鋭く自民党政権批判を繰り返したことでも知られます」(前出・同)
紳助さんが報道番組に出演したのには、このような時代背景もあったのだ。ただ、現在のタレントキャスターの乱立は池上氏が指摘する通り、「視聴率稼ぎのさもしい発想」でしかないのも確かだろう。