衝撃的なサスペンスホラーの登場だ。赤ん坊を死産して悲嘆にくれるケイト(ベラ・ファーミガ)とジョン(ピーター・サースガード)の夫婦は、なんとか悲しみを乗り越えようと養子を迎えることを決心する。訪れた孤児院で、愛らしいひとりの少女と出会う。名前はエスター。夫婦は彼女を家に連れて帰る。
これで幸せになれると思っていたが、ある日、エスターに意地悪をした子が公園で大けがをする。続いて孤児院のシスターが無残な死体で発見され、そこから一家には次々と危険な事件が起きる。最後に明かされる驚愕の事実に、ホラー映画の傑作との呼び声が高い。
「悪夢のエレベーター」(10/10より、シネセゾン渋谷ほか)
タイトルでホラーかと思うと早とちり。ホラーより怖い人間心理をみごとに見せてくれる堀部圭亮初監督作品。役者、構成作家などで活躍している彼が、劇団ニコルソンズを主宰している木下半太の小説家デビュー作にして、いきなり26万部を記録した同名の「悪夢のエレベーター」を映画化。妻の出産に立ち会うために急ぐ男がエレベーターに飛び乗る。が、そこでとじこめられ、居合わせた3人となぜか秘密を暴露し合うハメに…。内野聖陽、モト冬樹らの密室での話の面白さ、演技のうまさでドンドン引き付けていく。後ろめたい秘密は、どこでバレるかご用心!
「さまよう刃」(10/10より、丸の内東映ほか)
少年犯罪が凶悪化している。彼らが少年法で保護されている現行法規。そんな世の中に一石を投じた東野圭吾氏原作の推理小説を映画化。
妻を亡くし、最愛の娘と2人暮らしの中年男はおだやかな毎日を送っていた。だが帰宅途中の娘が突然少年たちに引きずり込まれたあげく薬物注射と強姦の跡を残して殺されてしまう。生きる希望を失った男は、せめて一矢報いたいと復讐を決意。その復讐を食い止めようと2人の刑事が必死に追うが。
主演の寺尾聰がいい味を出し、竹野内豊と伊東四朗の刑事もなかなか。静かに話を進める大人の映画に仕上っている。