「旅の成果、かつプロセスとして見てほしいんだ。全28曲、3時間のステージ。最後まで歌い切って全うするしかないと(笑)。まんべんなく選曲したよ。ド頭に最近の曲、1970年代のアルバム『日本少年』からの曲、弾き語り…ひと言じゃ説明できないなぁ。普段やってるのに、あえてやらなかった曲もあるし」
ライブには70年に結成したバックバンド『はちみつぱい』のオリジナルメンバーが集結。後にムーンライダーズを結成する鈴木慶一、武川雅寛、かしぶち哲郎ら、日本ロック界の歴史を築いてきたミュージシャンとのセッションが実現した。
「来てよ、って声をかけたかったけど、そんなゆとり全然なくて。ライブやるって大々的に告知したもんだから、コケたらどうしようと必死で(笑)。でも還暦祝いということで皆さん集まってくれてね。しかも“あがたVSはちみつぱい”の関係性も浮き彫りになると」
ゲストに矢野顕子や久保田麻琴、緑魔子らが登場。特に矢野とは76年のデビューアルバム「Japanese Girl」以来、30余年ぶりの共演となった。
「すべての出演者が素晴らしかった。お客さんも若い世代が多かったし、時代に合ったコンサートだったかな。まあ、私は当事者だから客観視できないけどね」
ライブを収録したCD『あがた森魚とZIPANG BOYZ號の一夜』(ディスクユニオン)が公開日と同じ10月10日にリリースされる。
「ジョン・レノンや高田渡がそうだったように、音楽をやるというのは一生もの。これからも続けていくよ。だって音楽をやらずして、一体何をやるんだい?」(おわり)