特徴的な太さの声と曲に、ただただ夢うつつの中ぐいぐい引き込まれてゆく。高校生の頃、FENから流れてきたキング・クリムゾンにうなされたのに近い、衝撃の体験だった。
(これ、ひょっとして、大名曲ではないか?)
DJが教えてくれたその曲名は、徳永英明の『桜』。
なんとこの曲、コンサートに何度も足を運んでいる、典型的“徳永おばさん”の筆者の母も知らなかった。1992年4月21日発売のシングル《恋の行方》のカップリング曲らしいが、まさに隠れた名曲のようだ。
作詞も作曲も徳永自身によるもの。唐突だが、ビリー・ジョエルも出はプログレバンドだったことを思い出す。きっと売れる人には、ゆるぎない音楽性が秘められているものなのだろう。
また、 以前バイトで、洋邦さまざまなアーティストのCDをデビューアルバムから順番にすべて聴いて、曲構成と情動面の両面のデータを一曲一曲分類していたが、どんなアーティストにも必ず名曲はあるものだ。 あの日本中を騒がせたアイドルのboxにも名曲はあった…。
2ちゃんねるの掲示板では、浜崎あゆみの『Real me』、聖飢魔IIの『秘密の花園』、B'zの『YOU&I』、尾崎豊『坂の下に見えたあの街に』等々が、定番の有名アーティストの隠れた名曲として挙がる。実際に聞くと、
「パール・ジャムの『ウィッシュリスト』と、奥田民生の『恋のかけら』は泣けますね。失恋したときによく聴いていました」(高円寺の中古レコード店店員)
誰しも心に自分だけの隠れた名曲があるのだろう。
皆さんにとっての隠れた名曲は、誰のどんな曲だろうか。