20日に引退を表明し、21年間の現役生活に幕を下ろした巨人・上原浩治。日米で一時代を築いた右腕の決断は各メディアによって大きく報じられ、その功績を改めて振り返る報道も数多い。
そのような報道の中で、たびたび報道されているのが、日米通算「100勝・100セーブ・100ホールド」という記録。日本人では上原のみ、メジャーを含めても過去に1人しか達成者がいない偉大な記録だ。
ただ、その功績の大きさが、冒頭で述べたようにとある議論を呼んでいる。それが名球会入りだ。現に、ファンからは「名球会に入会させてほしい」という待望論が数多く寄せられており、工藤公康(ソフトバンク監督)、ダルビッシュ有(カブス)といった野球関係者も入会をプッシュしている。
昨オフの名球会総会では、上原の記録樹立を機に「100勝・100セーブ・100ホールド」を新たな資格とするか話し合われている。もし今後結論が出れば上原も晴れて名球会の一員となるが、現状を考えるとそこまでして名球会に入るメリットは少ない。
名球会に入るメリットとして、主に考えられるのは「一流選手としての箔がつく」、「OBとの人脈が仕事につながる」、「野球教室や講演会参加による収入」の3点。しかし、数多くの人が引退を惜しんだように上原の人気・知名度は既に確立されている。また、収入面に関しても、日米両国で不動産投資を行っているため今後は安泰だ。
そもそも、名球会はもともと400勝投手・金田正一を中心に作られた一任意団体でしかなく、過去には榎本喜八(入会後、集まりに一度も参加せず脱会扱い)、落合博満など興味を示さなかった選手も存在。また、2013年には当の金田を含め3人が退会する“内ゲバ”が起こっていたことが、複数の週刊誌によって伝えられてもいる。
OBがひしめく中に入っても、余分に神経をすり減らすだけ。そんなリスクを負うのであれば、引退会見で意欲を示したアマチュア野球の指導に精を出す方がいいのではないだろうか。
文 / 柴田雅人