「来春のキャンプで、何処かのチームに『招待選手』として参加し、そこで復活を目指すというのが、米国メディアの見方です。松井かレイズで活躍できなかったのはキャンプをやっていないため、実戦感覚が遠のいていたためです」(米国人ライター)
しかし、メジャーリーグでは「35歳を過ぎた野手は買いたたかれる傾向」にあり、今季の『打率1割4分7厘、2本塁打、7打点』という成績からして、メジャー復帰には悲観的にならざるを得ない。
「マイナー契約を結び直し、レイズ3Aに残留する選択肢もあったわけです。とかいって、マイナーの試合はあと1カ月くらいで終わってしまうし、『だったら、身体をケアして来季に備えた方がいい』と松井は考えたのだと思います」(現地特派記者)
プロ野球解説者の1人がこう言う。
「横浜DeNAは再度、ラブコールを送ったようですね。松井は『巨人を裏切ってメジャーに移籍した』と負い目を感じています。そういう彼の心境を考えると、NPBに帰還する場合は巨人しかないと思います」
巨人はメジャーで現役を終えたいとする松井の意向を知ってか、それとも首位快走の余裕か、松井の今後にエールを送るだけ…。だが、来年もメジャー球団との交渉が長引き、「キャンプに参加できない」なんてことになったら、今度こそ松井は『NPB帰還』を真剣に考えなければならないだろう。
「巨人内部で松井獲得に関する話し合いはされたようですね。松井が今後どんな野球人生を目指すつもりなのかを整理するレベルでしたが…」(球界関係者)
巨人が松井獲得に動くか否かは、あくまでも「本人次第」(同)だという。「今後、松井がNPB帰還も選択肢に入れる」ことが大前提だが、現場サイドからは消極的な意見も出たそうだ。
「今の巨人は阿部のチームです。阿部は捕手として投手陣にも一目置かれていますし、4番を任されているように野手陣のリーダーでもあります。そこに年上の松井が帰ってくれば、阿部を中心にまとまっている状況が壊れてしまいます」(前出・同)
松井は『大人』なので、阿部を立ててくれるだろう。しかし、「阿部の方が、松井が相手だと遠慮してしまう」と、首脳陣は懸念していた。実は、阿部はまだ打撃部門のタイトルを獲得していない。
今季の阿部の成績は、3割8厘(2位)、本塁打12(5位タイ)、打点57(2位/8月8日時点)。打率は首位・坂本勇人は僅か1厘差で、打点はトップのバレンティンとの6打点差。首位打者と打点なら、タイトル獲得の可能性は大きい。本塁打部門のトップでもあるバレンティンは右臀部の肉離れで離脱したが、低反発の統一球の影響もあり、「他選手は追いつけないのではないか」との見方が支配的だ。阿部の12本は“セ・リーグの日本人トップ”だが、同日時点で『90試合356打席』を消化しての12本だから、本塁打が出る割合は、約3.3%。逆転不可能だろう。首位打者か、打点に照準を合わせた方がいい。
前出のプロ野球解説者がこう続ける。
「昨年、統一球が導入されてどのチームも打撃成績を落としました。統一球導入2年目を迎え、『打撃成績は回復しない。チーム平均打率2割5分程度で計算していかなければならない』というのが、各チームの見解です。一発の魅力のある松井に帰って来てほしいと思うのは、そのためですよ」
その通りだとすれば、巨人以外の日本の球団が松井獲得に本腰を入れるのでは…。いずれにせよ、チームリーダー・阿部は巨人と松井の関係修復のカギも握っているようだ。