原監督は「今回、どうしてもみんなに説明しておきたいことがあります。野球以外のことでメディアを騒がせてしまい申し訳ない。迷惑を掛けたので、ここで謝罪します」と頭を下げたという。その場で、原監督は2月1日のキャンプインの日に話した「日本一」に向けて、「一致結束」して頑張っていこうと、選手たちを鼓舞した。
これは、同日発売の「週刊文春」が原監督のプライベートでの醜聞を報じたことを受けてのもの。同誌によると、原監督は88年頃(当時選手)、常宿としていた兵庫県芦屋市内のホテル従業員の女性と交際。当時、原監督は既婚者で不倫関係であった。その後、原監督は06年8月に元暴力団員2人から、交際女性の日記のコピーを見せられ恐喝を受け、要求された1億円を支払った。09年4月に別の暴力団関係者が球団を脅迫し、原監督に事情聴取。球団は警視庁に相談し、その男は同年12月に威力業務妨害で逮捕されたという。
同誌発売前日の20日には球団が会見を開き、06年に恐喝してきたのはプロ野球関係者を名乗る人物で、反社会勢力にカネを支払った事実はないなどと、報道の一部を否定。球団は名誉毀損(きそん)であり、損害賠償請求訴訟を起こす意向であることを明らかにした。また、原監督は声明を出し、女性と不倫関係を持った点、1億円を支払った点を認めた。文春側は「記事には十分自信を持っている」として、巨人側と全面対決する姿勢だ。
今後、争点になるのは原監督を恐喝した人物が暴力団関係者かどうかであるが、不倫をしたこと、そのもみ消しのために1億円もの大金を支払ったことは事実として残った。いくら、24年も前の話とはいえ、さわやかなイメージをもつ原監督にとっては大きな痛手である。
序盤戦、下位に低迷した巨人だが、交流戦に入って急上昇。セ・リーグのチームとしては史上初の交流戦Vを達成した。現在リーグ2位の巨人は、首位中日にわずかゲーム差1と迫っている。リーグ公式戦は22日に再開するが、巨人は今の勢いをもって首位奪回に挑みたいところだった。そんな矢先に出た原監督のスキャンダルは、チームの士気に水を差した。
「チームのトップである監督が、プライベートなスキャンダルで、選手やスタッフに謝罪するなんて、あまり聞いたことがないですね。こんな時に、原監督が『一致団結』を叫んだところで、ナインはドッチラケですよ。これで、『監督のために…』という気持ちをなくした選手も少なくはないでしょう。チームの統制が取れなくなってしまう恐れもあります」(某スポーツ紙記者)と危惧する向きもある。
(落合一郎)