羽賀被告は01年に原告男性に未公開株を元値(1株40万円)の3倍に当たる1株120万円で売るなどした。一審では羽賀被告の知人の元歯科医が、「原告男性は元値を知っていた」との証言をしたことなどから無罪判決が出ていた。だが、その後、元歯科医の証言自体の信用性が低くなり、「元値を知らなかった」と主張する原告男性の証言の信用性が重視され、逆転有罪となった。
この事件には、ボクシング元WBA&WBC世界スーパーフライ級王者の渡辺二郎被告(56)も関与。羽賀被告が原告男性からカネをだまし取った後、その会社は上場せずに倒産。原告男性は約4億円を請求したが、羽賀被告は渡辺被告らと共謀し、06年6月に原告男性を脅して、1000万円で債権を放棄するよう迫った。渡辺被告は恐喝未遂の共犯とされ、一審では無罪だったが、今回は一転して懲役2年(求刑懲役4年)の実刑を言い渡された。
渡辺被告は現役時代、WBA王座を6度防衛した後、WBC王座との統一戦を画策。WBA王座ははく奪されたが、試合には勝って事実上両王座を統一。その後、WBC王座を4度防衛した。通算10回の世界王座防衛記録は長谷川穂積と並び、具志堅用高の13に次ぐ偉業で、その実績は日本ボクシング界にさん然と輝く。
しかし、引退後は恐喝未遂や銃刀法違反等の罪で逮捕され実刑も受け、日本ボクシング界からは事実上追放された。この裁判でも実刑処分となれば、塀の中での生活が再び待ち受けている。かつての栄光も名声も、まさに地に堕ちた恰好だ。
(落合一郎)