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世界にも挑んだ元東洋太平洋王者が恐喝で5度目の逮捕 プロボクサーの不祥事相次ぐ

 警視庁大塚署は3月26日までに、恐喝容疑でプロボクシングの元東洋太平洋(OPBF)、日本ミドル級王者・保住直孝容疑者(37=東京都豊島区)と、同じく元プロボクサーの矢島拓也容疑者(24=東京都豊島区)を逮捕した。

 大塚署によると、主犯格の保住容疑者は8日午前3時40分頃、文京区内のバーに約2時間居座り、同店を経営する知人男性に対し、「オマエは人にしてもらったことに対して最低なことをしている。本当に殺されるよ。こんな深夜営業なんかしやがってよ。今回の件は30で手を打ったらどうなんだ」などと脅し、レジにあった売上金の現金30万円を奪った恐喝容疑で、一緒に店に押しかけた矢島容疑者とともに逮捕された。

 保住容疑者と被害男性はともに神奈川県横須賀市出身で、17年前の成人式以来の知人。調べに対し、保住容疑者は「カネは受け取ったが脅してはいない。羽振りが良かった時期に、飲み食いさせていたから、30万はもらったんだ」と容疑を否認している。

 保住容疑者は横浜高2、3年次の91、92年のインターハイにてライトヘビー級で2連覇。鳴り物入りでヨネクラジムに入門し、93年6月にデビュー。99年4月に日本ミドル級王座を奪取。01年8月には東洋太平洋ミドル級王座を奪取した。02年10月には竹原慎二からベルトを奪ったWBA世界ミドル級王者、ウィリアム・ジョッピーに挑むもTKO負けし世界獲りはならず。

 私生活では98年に暴行容疑で初めての逮捕。01年2月にカジノ店での賭博罪で2度目の逮捕。07、08年には公務執行妨害で逮捕。有罪となったため、08年6月にJBC(日本ボクシングコミッション)からライセンス無期限停止処分を受け、事実上引退に追い込まれた。戦績は37戦30勝(23KO)7敗2KO。矢島容疑者はジムの元同僚。

 今でもなお、保住容疑者は元所属先のヨネクラジムの2階にある寮に居住しているが、師匠の米倉健司会長(77)によれば、家賃も滞納しており、「今度こそ出て行ってもらう」と5度目の逮捕に落胆の色が隠せない様子。

 米倉会長は柴田国昭(WBA世界フェザー級、WBA&WBC世界ジュニアライト級)ガッツ石松(WBC世界ライト級)、中島成雄(WBC世界ジュニアフライ級)、大橋秀行(WBA&WBC世界ストロー級)、川島郭志(WBC世界ジュニアバンタム級)と5人の世界王者を育てた名伯楽で、重量級の保住容疑者には竹原以来2人目の日本人ミドル級世界王者の期待を抱いていた。マジメに精進していれば、世界王者になっていたかもしれない逸材だった。

 また、26日には長野県警中野署が窃盗容疑で自称会社員・蔦野哲平容疑者(22=自称東京都新宿区)を逮捕した。逮捕容疑は、同日午後3時35分頃、長野県山ノ内町の志賀高原にあるホテル売店で、スキーウエアや手袋など4点(計4万8000円相当)を盗んだ疑い。同署によると、蔦野容疑者は友人とスキーに来ていた。

 蔦野容疑者は帝拳ジムに所属するC級ライセンスを持つプロボクサーで、戦績は3戦3勝(2KO)。帝拳ジムは西岡利晃(WBC世界スーパーバンタム級)、粟生隆寛(WBC世界スーパーフェザー級)、山中慎介(WBC世界バンタム級)、ローマン・ゴンザレス(WBA世界ライトフライ級)と4人の現役世界王者を抱える有力ジム。

 相次ぐプロボクサーの不祥事に、ボクシング関係者も眉をひそめる。プロボクサーはリングを下りたら、紳士でなければならない。全プロボクサーは、それを肝に銘じてほしい。
(落合一郎)

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