1月23日(日本時間24日)、MLB公式サイト、複数の米メディアは両者が1年契約で合意したと伝えた。年俸は200万ドル(約2億3600万円)で、2年目のオプションは付かないとみられている。
マーリンズは公式サイトで、「2年契約を準備する用意がある」としていたが、実際の提示は単年。同じくイチローに興味を示していたオリオールズが、狙っていたコルビー・ラスマス外野手(28=ブルージェイズからFA)をアストロズにさらわれたため、獲得に動く可能性も報じられたが、オファーには至らなかったようだ。とどのつまり、イチローにはマーリンズ以外に選択肢がなかったということになる。
イチローは07年オフ、マリナーズと5年9000万ドル(年平均1800万ドル=現在のレートなら約21億2000万円)で契約を延長したが、これが自身の最高年俸。今回、マーリンズと200万ドルでサインするとなると、全盛期の9分の1になってしまう。
しかし、イチローがこだわったのは年俸より出場機会で、レギュラー争いができる球団を探していた。イチローに関心を示したオリオールズやブルージェイズなら、その可能性はあったが、正式なオファーは届かなかったようだ。
マーリンズにおけるイチローの立場は“4番手外野手”という厳しいものとなる。同球団の外野陣は、左翼がクリスチャン・イエリッチ(23)、中堅がマーセル・オズナ(24)、右翼がジャンカルロ・スタントン(25)と固定されており、しかも3人とも25歳以下と若く、伸びしろにも期待できる。
その3人とイチローがレギュラー争いをする余地は残されていない。あくまでも、同球団は“控え”を前提とした獲得であり、ナ・リーグには指名打者制がないため、出番は代打、代走、守備固めに限定される。スタメンで出る機会があるとすれば、3人に故障者が出た時、休養日を設ける時、極度の不振に陥った時に限られそうだ。
昨季、4番手、5番手外野手の位置付けだったイチローだが、主に指名打者を務めたアルフォンソ・ソリアーノ(39)が不振のため7月に戦力外になり、ヤンキース外野陣に故障者も多く出て、それなりの出場機会を得た。その結果、385打席が与えられ、102安打をマークすることができた。
イチローが目指すメジャー通算3000安打を達成するためには、昨季のペースなら2年でクリアできる。だが、今季は昨季以上にベンチを温める機会が増えると予想され、極めて厳しいシーズンとなりそう。ライバル外野手の“故障待ち”では、なんとも寂しい。
※年俸は推定。為替は現在のレート
(落合一郎)