イチローにはマーリンズ、オリオールズ、ブルージェイズの3球団が興味を示していたが、ここに来てマーリンズが急浮上し、契約合意が有力となっている。
マーリンズの公式サイトでは1月19日(現地時間)、メジャー3000本安打達成を目指すイチローに2年契約を準備していることを伝えた。
流れはマーリンズ入団に向いているが、イチロー側が求める出場機会の点で、同球団はフィットするとはいいがたいのだ。
公式サイトでも伝えているように、同球団はあくまでも“4番手外野手”を探しており、イチローがその有力候補となっている。
同球団の外野陣は、左翼がクリスチャン・イエリッチ(23)、中堅がマーセル・オズナ(24)、右翼がジャンカルロ・スタントン(25)と、25歳以下の若手で固定されている。
昨季、イエリッチ(左打ち)は144試合出場、打率.284、9本塁打、54打点でゴールドグラブ賞を獲得。オズナ(右打ち)は153試合出場、打率.269、23本塁打、85打点。オフに13年総額3億2500万ドル(約385億円)で異例の長期契約を結んだスタントン(右打ち)は、145試合出場、打率.288、37本塁打、105打点をマークした長距離砲。
レギュラーは固まっているが、同球団のメジャー40人枠で外野手登録は、この3人だけで、どうしても控えが必要。3人とも若いだけに、イチローのような経験豊富なサブが求められている状況なのだ。基本的にこのなかに、イチローを入れて競争させようとの思惑は同球団にはないとみられている。
そうなると、イチローの役割は代打、代走、守備固めとなり、打席に入る機会は限られてしまう。ましてや、同球団が属するナ・リーグは指名打者制がない。昨季、イチローはヤンキースで4番手、5番手扱いだったが、レギュラー外野手が1人指名打者に入ることで、スタメン出場の機会を得ることも多く、385打席を確保できた。ナ・リーグではその手が使えないため、イチローが同球団に入団した場合、打席数が激減することが予想される。
昨季、控えながら、102安打をマークし、メジャー通算3000本安打まで、あと156本に迫っているイチロー。昨季のペースなら、記録達成には2シーズン必要だが、スタメン機会がさらに減るとなると、それも遠のく。
同球団が41歳と高齢のイチローに本当に2年契約を提示するなら厚遇ではあるが、こと打席に立つチャンスとなると、いばらの道が待ち受けているだろう。イチローの決断が待たれるところ。
(落合一郎)