鳥谷にはブルージェイズ、パドレス、メッツあたりが興味を示していたが、米ニューヨークの地元メディアによると、メッツが獲得レースから撤退したとも報じられている。
交渉がスムーズに進まない最大の要因は、ズバリ条件。契約年数、年俸の点で、鳥谷側が希望するものとは大きな隔たりがあろうようだ。
2年間、川崎がプレーしたブルージェイズはリスクを回避するため、単年の契約を希望。複数年にこだわる鳥谷側との溝はなかなか埋まらないという。
国内ではトップクラスの遊撃手として評価され、歴代3位の1466試合連続出場中の体の強さを誇る鳥谷だが、米国内では、どの球団も獲得に慎重になっているのが現状。
それは、ここ数年、日本人内野手の米国での失敗例が相次いでいるからにほかならない。西岡剛内野手(30)はロッテ時代の10年オフにポスティングシステム(入札制度)を使って、ツインズと3年総額925万ドルの契約を結んだ。
しかし、1年目は故障もあって、わずか68試合の出場、打率.226、0本塁打、19打点の成績に終わった。2年目はマイナー暮らしが続き、3試合のみの出場で、1本の安打も打てなかった。12年オフ、西岡は自らの希望で契約解除を申し出、日本(阪神)に戻った。
12年オフに西武から海外FA権を行使して、アスレチックスと2年総額650万ドルの契約を交わした中島裕之内野手(32)は、一度もメジャーに昇格できず。2年目は2Aまで降格し、ポジションも一塁に回されるありさまだった。球団は3年目のオプションを保有していたが行使せず、FAとなって、オリックス入りした。
マイナー契約ながら、川崎(マリナーズ→ブルージェイズ)はポジションを獲るまでには至らず。田中賢介内野手(ジャイアンツ→レンジャーズ→日本ハム)はジャイアンツ時代に、外野手として15試合出場したが、内野手としてはメジャーで1試合の出場もかなわず、古巣への復帰を決めた。
こうしたケースが、日本人内野手の米国内での評価を著しく低くしてしまっているのだ。阪神は残留する場合のタイムリミットを1月中旬に設定しているといわれる。そうなると、残された時間は限られている。鳥谷はどうしてもメジャーに挑戦したいなら、年俸ダウンを覚悟するしかなさそうだ。
(落合一郎)