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阪神・鳥谷の移籍先がなかなか決まらないワケ

 海外FA権を行使して、メジャー挑戦を目指している鳥谷敬内野手(33=阪神)の移籍先がなかなか決まらない。

 敏腕代理人のスコット・ボラス氏をもってしても、交渉は難航。最悪、去就が決まるのは越年となる可能性も出てきた。

 その最大の要因となったのは、同じアジア人で同じポジション(遊撃)である韓国の姜正浩(カン・ジョンホ=27=ネクサン)がポスティングシステム(入札制度)を使って、メジャー移籍を目指したためだ。

 姜は今季、117試合出場、40本塁打、117打点、打率.356の成績。9年通算で、139本塁打、545打点、打率.298をマークし、ゴールデングラブ賞も3度受賞している。

 かたや、鳥谷は今季、144試合出場、8本塁打、73打点、打率.313で、5度目のベストナイン、3度目のゴールデングラブ賞に選ばれた。11年間の通算成績は、120本塁打、677打点、打率.285。

 両者の決定的な違いは、鳥谷より姜が6歳若く、まだのびしろに期待できる上、長打力に大きな差がある点。

 そのため、市場では姜の方が“優先”となり、複数の球団が獲得を希望し、鳥谷との交渉が後回しとなったもよう。その姜は12月22日、パイレーツが入札額500万2015ドル(約6億円)で30日間の独占交渉権を得た。

 入札に参加した球団は明らかにされていないが、内野手補強を目指し、姜の交渉権を獲得できなかった球団が鳥谷にスライドすると思われ、ブルージェイズ、パドレスあたりが有力候補として浮上してくる。

 そこで、もうひとつの障害となるのが契約条件だ。ここ数年、西岡剛内野手(ツインズ→阪神)、中島裕之内野手(アスレチックス→オリックス)、田中賢介内野手(ジャイアンツ→レンジャーズ→日本ハム)らの失敗例があり、メジャーでの日本人内野手への評価は低い。

 ボラス氏の力もあって、メジャー契約は確保されそうだが、それもあって、鳥谷に提示されている条件は思いのほか悪く、残留交渉をしている阪神の条件を下回るとみられているのだ。しかも、ブルージェイズは本職の遊撃ではなく、二塁手としてのオファーだという。

 鳥谷の今季年俸は3億円(推定)。阪神は年内決着を希望している。夢を取って、年俸が下がってもメジャーに移籍するのか、現実問題として、“金”を取って、阪神に急転直下残留するのか、鳥谷は決断を迫られている。
(落合一郎)

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