左腕チェン・ウェイン(34)がマイアミマーリンズから事実上の戦力外を通達され(11月20日/現地時間)、彼の古巣である中日の加藤宏幸球団代表が記者団に囲まれた。同代表は「調査はしたい。普通に考えると…」と、帰還に否定的な見解を述べた。チェンは中日在籍中の2009年、最優秀防御率のタイトルを獲得。11年オフに渡米し、オリオールズを経て、マーリンズとは5年契約の4年目だったが、「あと1年」を残しての“途中解雇”となった。
「今季のチェンは不振でした。先発ローテーションを外され、主にリリーフで投げていましたが、勝ち星ナシ。防御率も6点台。彼のメジャーでのキャリアにおいてワーストでした」(米国人ライター)
しかし、左の先発タイプである。「環境を変えてやれば」と考える球団編成スタッフも出るだろう。日米を問わず、左の先発ピッチャーは貴重だ。古巣・中日に取材陣が集まった理由もそのためだが、アメリカ側の取材陣はちょっと違う視点を向けていた。
菊池涼介(29)が正式なポスティングシステムの手続きを終えるのは、いつなのか――。
チェンの途中解雇は、菊池の獲得にもつながっていくというのが、米メディアの見解だ。
「マーリンズは、元ヤンキースのデレク・ジーター氏が『共同オーナー兼CEO』を務めていることは、日本のファンにも伝わっています。松井秀喜氏の同僚だったので、ジーター氏に好意的なファンも多いと思います。その彼が実質的なゼネラルマネージャーとして、チーム編成にも関与していますが、ハッキリ言って、『センス無し』ですよ」(前出・同)
今季もチームが低迷し、2年連続ナ・リーグ東部地区の最下位だ。勝率3割5分2厘で、地元ファンも半ば見限っているという。
「チーム再建のために若手中心のチームに作り替えるとし、かつてはイチローも解雇しています。再建はなかなか進まず、ファンがいちばん心配しているのが、スターリン・カストロ二塁手の後継者です」(前出・同)
カストロは17年オフ、トレードでヤンキースから移籍してきた。攻守の中心的存在だった。しかし、今季終了と同時に「他チームに!」と出て行ってしまい、後継の二塁手探しが今オフの最重要テーマとなっているのだ。
好選手を集められない理由は、チーム編成予算が少ないからに尽きるが、「敗戦=観客減」で、やはり大盤振る舞いはできない。そこで、浮上してきたのが、菊池の名前だという。
「菊池に関しては、いくつかの都市部の球団が交渉の準備を進めています。一部では、年齢的理由から『メジャー契約は厳しい』とか、『控え内野手の一人』の評価もあります。マーリンズは完全に出遅れてしまいましたが、メジャー契約、レギュラーを提示できそうです」(特派記者)
もっとも、年俸面では色好い話は聞かれそうにないが…。
契約途中のチェンを解雇した。このままチェンに興味を示す米球団が現れなかった場合、マーリンズには5年契約で補償した2200万ドル(約23億円)を払い、彼をマイナーで雇用する義務も生じる。その球団の決意に、地元ファンは「本気でカストロの後継者を探そうとしている」と捉えている。そこで、菊池の名前も浮上してきた。元中日投手の解雇報道のウラで、侍ジャパンの大型二塁手がチラついている。(スポーツライター・飯山満)