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2011年『12球団ペナントレース総括』 エースのお値段! 福岡ソフトバンク編

 03年以来の日本シリーズ制覇から2日後、渦中の杉内俊哉(31)が球団側と交渉した。『国内FA権』を行使するかどうか、結論を保留したが、一部では移籍は規制路線のように伝えられている。また、和田毅(30)も海外FA権を行使するとされ、球団は帆足和幸(32=埼玉西武)、井川慶(32=ヤンキース2A)の調査を進めるなど、万が一に備えている。杉内、和田クラスを同時喪失するとなれば、不安に駆られる気持ちも分かる。しかし、大隣憲司、山田大樹、陽耀勲といった好左腕も控えている。「まだ補強するか!?」と思うファンも少なくないだろう。
 杉内が国内FA権を行使するとすれば、この『大型補強』にも理由がありそうだ。

 杉内の推定年俸は3億5000万円。3億円からの5000万円アップだったが、本人は納得していない。昨年の契約更改だが、1回目の交渉から前述の金額が提示されていた。杉内は怒った。横浜からFA移籍してきた内川とは「4年最大12億円」、同じく埼玉西武からやってきた細川とも「4年8億円」で契約。ライバルでもあるチームメイトの和田は1億2000万円から一気に3億円までアップし、「オレの評価はこの程度か!?」と−−。和田は17勝で最多勝、杉内は16勝。07年から15勝、10勝、15勝…と、『4年連続2ケタ勝利』を収めており、「上がり幅で和田とここまで違うのは納得できない」という言い分にも筋が通っていた。
最終的にはその額でハンコを押したが、契約更改後の球団批判は強烈だった。
 「携帯電話会社と同じですよ。新規加入の人には優しくて既存の人にはそのまま。年越しも…」(1回目の交渉決裂後)
 杉内は『環境の変化』を嫌う。日本人メジャーリーガーの話を振っても、「生活サイクルとかも変わるし、自分は海外に行ってまで野球をしたくない」と返していた。したがって、「慣れ親しんだ福岡からも出たくないのではないか?」と見られていたが、昨年オフの公約更改のゴタゴタ以来、他球団は「国内FA権を行使する可能性アリ」と、内々に調査を進めてきたのだ。

 今季の成績は23試合に先発登板し、8勝7敗。しかし、防御率1・94の数値が示しているように投球内容は昨季よりも良くなっている。勝ち星が伸びなかったのは、9月14日に一軍登録を抹消され、約1カ月間、登板間隔が「空いた」ためである。その登録抹消の理由にしても「過労に因る左肩痛」。復帰登板となった10月8日、6回を10奪三振無失点に抑えてみせた。1年を振り返ってみても、先発23回中21回の『クオリティースタート』(6回3失点以内に抑える/以下=QS)をマークした。
 左肩痛による戦線離脱前、自身初の4連敗もあったが、QSの多さが証明するように投球内容が悪かったわけではない。「8勝」の数値は“3億円投手”としては寂しいが、ソフトバンク球団は「優勝、日本一のご祝儀」も含め、1億円強のアップを提示してもいいのではないだろうか。
 また、他球団と比較するのは“危険”だが、ダルビッシュは3億3000万円(2010年度)から5億円にアップした。杉内もダルビッシュに近い上がり幅を提示される可能性がある。しかし、ダルビッシュはその昨年の契約更改後の会見でこう答えている。
 「まさか、こんなに…」
 球界には3億円を越えると、「その後は昇給幅が小さい」という“定説”もある。
ソフトバンクは球界の定説に則り、『誠意』で杉内を説得するか、それとも、ダルビッシュ級の大幅昇給を提示するのか…。

 巨人、阪神、新生・横浜DeNA、楽天が本当に「杉内獲得」を目指すのなら、5億円のマネーゲームに発展するだろう。
 他球団に移籍した際、「環境の変化」を嫌う杉内の弱点が、別の形で露呈するかもしれない。杉内は相性の問題で山崎勝己捕手を好む。移籍先の球団にもそういった相性の良い捕手がいればいいのだが…。(スポーツライター・飯山満)

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