カップとボウルがありボウルを頼んでみるとかなりの量だった。
油っこい、味の濃い料理が多いアメリカで、これはあっさり味のチキンスープにつみれかはんぺんのような食感のマッツォボールが入っていて、ヘルシーな感じがした。ちょっとお醤油を垂らせばご飯にも合いそうだった。
「SATC」のエピソードの中には風邪気味だというシャーロットにデートの相手がチキンスープを届けるシーンがあり、このスープも風邪引き時の定番なのかもしれない。
マッツォというのは、イーストを入れないユダヤのふくらし粉を使わない平らな丸いパンで聖書には「種なしパン」という名で出てくる。私が古着屋をやっていた頃、隣の本屋のユダヤ人店主のマイケルがよくパリパリと食べていて、マッツォの由来を教えてくれた。彼の発音ではマッツァと聞こえた。それに卵を入れてボール状にしたものだという。
このカフェはエディソン・ホテルの一階にあり、遅い午後のヒマな時間帯、ホテルのドアマンがカウンターで一人バーガーをほおばっていた。
ドラマの中のような、「1人客はカウンター!」と怒鳴るウェイター頭なのかシーティング係なのか、コワいオジサンはいなかったのでホッとしたり当てが外れたような気がした。
バニラ・フレーバーとヘーゼルナッツ・フレーバーのフレンチコーヒーというのがあり、どんなものかとついでにオーダーしてみた。ニューヨークのコーヒーは総じてまずいのであまり期待はしなかったがやっぱり外れだった。大体ぬるいのだ。
ドラマではキャリーの隣にいた初老の女性がエンエンと語り始める。日本ではあり得ないがこういう感じの年配女性はNYにはいてもおかしくない。
愛想の悪いインド系のウェイターに「キャリーはどこに座ったの?」と聞いたら、その頃はいなかったそうでがっかり。すると黙々とハンバーガーを食べていたユニフォーム姿のドアマン氏が「ロケの時働いていたのでよく覚えている。ずらりとエキストラを連れて来て撮影していたよ」と親切に教えてくれた。
はっきり言ってあまりパッとしない店だったので「どうしてこの店を選んだのかしらね」と聞いたら「ここは古い店だし、ブロードウェイ関係者がよく出入りするから使いやすかったのかな」と推察していた。サラジェシカパーカーの夫であるマシュー・ブロデリックもかつて大ヒットミュージカル「ザ・プロディーサーズ」に出演していた舞台人でもあるから彼も出入りしていたかもしれない。
コーヒーとスープにチップを入れて8ドル程度。キャリーが眺めた古い店内をぐるりと見渡し、高い天井も見上げてみれば次回に
このエピソードを見る時にぐっと気分が出る事は間違いない。
228WEST47STREET
NY.,NY. 10036
参考資料
SATCmap Hyper and The Movie1・2
藤原知佐子著